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そして父になる 映画レビュー

子供ができただけでは父にはなれない?


泣ける度★★★★★ オススメ度◎◎◎◎◎
そして父になる
監督 是枝裕和
脚本 是枝裕和


【映画解説】そして父になる☜公式サイトはこちら
「誰も知らない」など子供の演出には評価の高い是枝裕和監督が
子どもを取り違えられた2組の家族を通して、
父親とは何か?家族とは何か?といったテーマを問うヒューマンドラマ。

【映画レビュー】
子供のいない男性には、本作のテーマであるこの感覚は
少し難しいかもしれないが
子供を持つ男性ならば、頷ける方も多いと思う。
かくいう私もそんな男のひとりだ・・・

私は27歳で結婚した当初から子供が欲しくて仕方なかったが
別にコントロールしていた訳でもないのに
結婚してから8年間も子宝には恵まれなかった。

夫婦共働きという理由からかも知れないが
当時、妻はあるアパレルメーカーのプレスをしていて
年に4回も海外出張があり、多忙を極めていた。
病院で夫婦共に検査もして貰ったが
これといった原因は見つからないまま8年間が過ぎた。

子供ができないことは次第に夫婦仲を気まずくしてゆき
お互いに諦めかけていた頃、突然妻が養子をもらおうと言い出した。
妻の唐突な提案に驚き、自分の血を分けた訳ではない子供を
果して愛情たっぷりに育てることができるのだろうか?
と、自問自答して出した結論が何か夫婦での共同作業をすることだった。

当時、私の親の持ち家で弟と3人で暮らしていた私たちは
かなり無理をして夫婦で大借金を背負いマンションを購入した。
どうせ子供のいない二人暮らしだからと
3DKの小さめの大きさでも、職場に通いやすい
中古マンションを購入し初めて夫婦2人だけの生活を始めた途端
妻が妊娠した・・・

始めは妻の言葉が信じられなかったが、
8年間も待ち望んでついに恵まれた子宝に、
流産などしないように細心の注意を払い
日々大きくなってゆく妻のお腹を見ていた私に
妻が突然、仕事を辞めると言い出した。
夫婦2人の収入を見込んで購入したマンションだったので
当然私の収入だけでは巨額の住宅ローンは払いきれない。
「夫婦で半分ずつ返してゆく予定で借りた借金なのだから、
無責任すぎる!」と妻に抗議した私に妻が言ったひと言は
「お腹の赤ん坊が、仕事を辞めないと生まれてきた上げないよ」
と言っているという、とんでもないものだった。

結局、妻は会社を辞めて無事出産し、
待望の男の子が生まれてきたが、
私の肩には予定の倍の借金がのしかかり、
それから21年間、未だに懸命にそのローンを返し続けながら
細々と暮らし続けている。
その息子に、この21年間ずっとことあるごとに教えられながら
父になる修行を、今もし続けている自分がいる。
私にとって息子は父親になるための大切な先生なのだ!

私事で前置きが長くなったが、
子育てとは親が子供を育てるという一方的な作業ではなく
子供と接することで子供から教わりながら
父親になってゆく修業の期間なのではないか?と
この映画を観て改めて思い知らされた。

子供を成人まで育てるには、それなりに収入も必要だし
こんな子に育って欲しいという親なりの理想もあると思うが
一番大切なのは子供と向き合うことなのではないか?
本作で田舎の電気店を営む“斉木”夫婦は
けして裕福とは言えない生活をしているが
夫婦してしっかりと子供に向き合いながら子育てをしている。

一方、一流建設会社に勤める“野々宮良太”は
中間管理職という立場故、仕事は超多忙を極め
家庭を顧みないで仕事に没頭する毎日を送っている。
妻のみどりがその分までフォローしているが
父親の良太は子供と向き合っている時間は全くと言っていいほど無い。

お互いの息子が病院の手違い?(実は看護師の悪意)で
入れ違ってしまい、結局、本当の親の元で育てるべく
6年間育てたお互いの息子を交換しての生活が始まるのだが
それぞれの子供が本来の血のつながった新しい親を
受け入れるかどうか?その微妙な感情の演出が
この映画のキーテーマと重なって見事に表現されてゆく。

「誰も知らない」の時も感心したが
是枝監督は本当に子供を自然に演出できる希有な才能の持ち主だ!
本作でも2人の主人公の子供には予め台本は渡さずに
その場その場で台詞を教えて喋ってもらい
子供本来の素朴な言い方などを見事に引き出しているらしい。

今回のキャスティングも実に見事で
福山雅治が演じる建設会社のエリート社員、野々宮良太も
リリー・フランキーが演じる田舎町の電気店主、斉木雄大も
それぞれのキャラクターを十分に活かしていて
まったく違うタイプの父親というキャラクターが見事に表現されている。

でもよくよく考えてみれば2人ともまだ独身で
子供を持つ親の経験も無いのだから
その感情や心境は分からないはずなのに
やはり、それも是枝監督の演出力の賜物なのか?
2人の役者の演技が秀逸なのか?

映画を観終わって、妻と交わした共通した意見は
もし、こうなったら一生このお互いの家族と
親戚付き合いしていくしか無いよね・・・
ということだった

あなたは、この夫婦の立場になったらどう感じるだろうか?
ぜひ夫婦で観て考えてみて欲しい・・・




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最新邦画レビュー

舟を編む 映画レビュー

すべてが上手い!大人の映画の説得力


泣ける度★★★☆☆ オススメ度◎◎◎◎◎
船を編む
監督 石井裕也
脚本 渡辺謙作
原作 三浦しをん
音楽 渡邊崇


【映画解説】公式サイトはこちら☞舟を編む
2012年本屋大賞に輝いた“三浦しをん”の小説を、『川の底からこんにちは』の石井裕也監督が実写映画化。
二十数万語が収録された新辞書『大渡海』を作るため、出版社の寄せ集め編集部が気の遠くなるような歳月をかけて挑む姿を淡々と描く。

【映画レビュー】
上手い!
まず、役者が上手い!
そして、絶妙なキャスティングが上手い!
当然、脚本が上手い!
だから、セリフ回しも上手い!
その演出も、上手い!

と、すべてが上手い!という字を使ってしまったが
この映画を観たら「上手い」「巧い」「旨い」を
使い分けなければと思ってしまいますね(笑)

私は文庫派なので、まだ「船を編む」は読んでいませんが
この映画を観て読んでみたくなりました。

始めから終わりまで淡々と進む、とても静かな映画ですが
さすがに辞書を編集する物語なので
台詞のひとつひとつが、とても考えられていて
心に染み込んできます。

全体的に激しい台詞もシーンも無く
名優たちの抑えた演技がとてもよかったです。

主演の“馬締光也”の松田龍平と“西岡正志”のオダギリジョーの
対照的な二人のコンビネーションも抜群で
そのまわりのベテラン編集者“荒木”の小林薫
国文学者?で辞書監修“松本”の加藤剛
契約社員でPC入力担当“佐々木”の伊佐山ひろ子
女性誌編集から移動してきた新人“岸辺みどり”の黒木華
馬締の下宿のお婆ちゃん“タケ”の渡辺美佐子
営業で西岡の同棲相手“三好麗美”の池脇千鶴
辞書編集部を心良く思っていない局長“村越”の鶴見辰吾
印刷屋の営業“宮本”の宇野翔平
松本を陰で支える妻“千恵”の八千草薫
と、どれをとっても出版社やそのまわりに、いかにもいそうなキャラクターを
見事に演じきっていて、映画を観ながら心の中で
(いるいる、こういう人)と思って笑いをこらえてました。

そして馬締が一目惚れした“林香具矢”の宮﨑あおいも
いつもの満面の笑顔を一度も出さずに、でもしっかりと
自分の志した道を歩みながら馬締を支える、
芯の強い女性像が板についていて
この映画のトーンの一翼を担っています。

普段何気なく使っている辞書の編集が
こんなにも多くの人たちの努力の積み重ねで
出来上がっていたことを初めて知らされ
改めて日本語の奥深さを感じ、辞書の扱いも考えさせられました。

この映画に出てくる『大渡海』という辞書の編集が始まったのが1995年
まだ、携帯電話も今ほど種類が無く
ネットが辞書代わりに何でも教えてくれる今とは違って
紙のページをめくりながら分からないことを調べる辞書の役割は
とても大きかったと思います。

でも完成までに13年もの歳月を費やしてこの世にデビューした途端に
馬締とベテラン編集者、荒木のポケットには
もう新しいコトバを採集したカードが何十枚も入っていて
年代と共に変わってゆく日本語の使い方に
「言葉は生きているんだなぁ」と改めて考えさせられました。

そして、最後に字幕ロールを観るまで気づかなかった
本好きで有名なピースの又吉直樹のさりげない演技も
なかなか良かったですよ!



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最新邦画レビュー

八日目の蝉 映画レビュー

泣ける度100点満点、泣きたい人は必見!


泣ける度★★★★★ オススメ度◎◎◎◎◎
八日目の蝉
監督 成島出
脚本 奥寺佐渡子
原作 角田光代
製作総指揮 佐藤直樹
音楽 安川午朗


【映画解説】公式サイトはこちら☞
角田光代原作のベストセラー小説を『孤高のメス』の成島出監督がメガホンを取り 映画化した社会派ヒューマンサスペンスムービー

【映画レビュー】
私はあまり映画に点数を付ける人ではないが
あえてこの映画には泣ける部門で100点をつけたい!

私が鑑賞したのは平日の昼間で
お年寄り率が高かったとはいえ
映画館のあちこちから、すすり泣く声が聞こえてきたほど
この映画は心ある人なら泣かずにいられないだろう。
特に子供を持つ親の立場の人たちには
心の奥底に何とも言えない“じ~ん”が響き
思わず涙腺が緩んでしまうのです。


まず、キャスティングがいい!
誘拐犯、野々宮希和子役の“永作博美”がいい!
それに負けないくらい秋山恵理菜(薫)役の“井上真央”がいい!
薫の子供時代の子役“渡邉このみ”も自然でいい!
薫(恵理菜)を取材に来てたはずが
やがて一緒に旅を始め、彼女の支えになる
安藤千草役の小池栄子も新境地を演じていて、なかなかいい!
娘を誘拐され0歳から4歳までの一番かわいい時期を
自分で育てられなかった母親の苦悩を演じる
秋山恵津子役の森口瑤子の暗さがいい!
不倫相手に子供を作り、堕胎させたあげく
二度と子供を産めないカラダにしてしまった故に
本妻との間に生まれた娘を誘拐されてしまう
身から出た錆に苦悩する駄目父親
秋山丈博役の田中哲司がいい!
(仲間由紀恵の彼氏というのが納得できませんが・・・)
ということは
やはり成島出監督の演出がいいのだ!


前作の『孤高のメス』も
難しい医療をテーマにした映画だったが
今までの医療映画とは視点が違う見事な演出に
この作品でも号泣したのが記憶に新しい
(因に私の去年の邦画No.1はこれ)

この映画を観た人の99%は
赤ん坊を誘拐した犯人の野々宮希和子に同情し
加害者ではなく被害者だと思ってしまうのでは???

それほど子供が欲しくて欲しくて堪らなかった
希和子がとった突然の行動に
同じ親なのに絶対に子供を産めず母親にはなれない
我々、男親には理解できない何かが
あるのだということも思い知らされました。

いやー、日本人の心の琴線に
びんびん触れてくる見事な演出に、
これからもどんな風に泣かせてくれるのかが
とっても楽しみです。

見逃した“泣ける映画ファン”はDVDがでたら
速攻で借りて、TVの前で号泣してください。
必ず泣けます。保証します。


ひょっとしたら浮気中の男性はこの映画を観て
少し悔い改めるかも知れませんね(W)





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最新邦画レビュー

あしたのジョー 映画レビュー

時間の短さと時代とのギャップが少し辛い・・・!?


泣ける度☆☆☆ オススメ度◎◎
あしたのジョー


【映画解説】 公式サイトはこちら⇒
あの伝説のボクシング漫画「あしたのジョー」を『ピンポン』の曽利文彦監督が実写映画化
ジョーを山下智久、力石徹を伊勢谷友介が徹底的な肉体改造で熱演することも話題に!


【映画レビュー】
昭和30年代前半生まれの私は
正に『あしたのジョー』世代と言ってもいいくらい
連歳マンガもTVアニメも、いつも食い入るように見て育ったひとり
山ピーと伊勢谷、二人の主役の肉体改造が話題になっている実写版を
楽しみにして、早速、鑑賞してきた。

第一印象は制作者たちが原作をリスペクトしている感じが
ひしひしと伝わって来て
思っていたほど原作とのギャップを感じなかった。
特に驚いたのは香川照之の“丹下段平”だ
特殊メイクを施したとはいえ、仕草も声も
原作のイメージのまんまで
改めて香川さんの演技力に感服させられた。

二人の主役の肉体美も前評判通り素晴らしく
短期間によくここまでカラダを作り上げてものだと
こちらも感心させられた。

元々プロボクサーの身体は相手のパンチを防御するために
鍛え抜かれた筋肉の鎧で覆われているから
あれほど美しく見えるもの
主役の二人の正面から見た身体は
プロボクサーにも引けを取らないくらい美しく鍛え上げていた
ただ、パンチ力を司る背中の筋肉は
さすがにプロとは違っていたようだが・・・

惜しむらくは時間の短さ
原作を読んだときに感じる
それまでは何にも熱くなれなかったジョーが
力石との出会いによってボクシングに目覚め
題名どおり、段平のおっちゃんと
“あした”を掴むために懸命に努力していく姿
すでにボクサーとしてスーパースターの座に居る
力石に1歩1歩近づくために
ボクシングに打ち込むひたむきなジョー
やっと試合にこぎつけて死闘を演じた末、力石のアッパーに敗れるが
目標の相手と戦った充実感と悔いの無い満足感を味わうジョー
だが、その試合であろうことか力石が亡くなってしまい
絶望感と罪悪感に苛まれるジョー
その後、目標を失い、抜け殻のようになってしまうジョー
そんな矢吹丈の微妙な心理が、映画からはイマイチ伝わってこない
前篇・後編に分けてでも、時間をかけてその辺りの
やっと“あしたを掴む感”がもう少し描けていたら
もっと感動できたのではないか?

あと気になったのは、時代背景のズレだ
私が育った昭和30年~40年は
戦後10年が経ち、世の中が高度経済成長へと
ひた走っていた時代
儲かる企業はとんでもなく利益を上げていき
大学出の一流企業のエリートたちはどんどん暮らしが良くなっていく
その陰で、相変わらず集団就職で田舎から出てきた人たちは
工場や零細企業で低賃金でこき使われていて
プロボクサーの世界チャンピオンという快挙は
そんな貧乏暮らしから抜け出せる数少ない
競技のひとつだったからこそ
血だらけで撃ち合うボクサーたちに
頑張っている自分を投影しながら
観ている人たちを熱くさせられた。

本作のドヤ街の設定も
世の中にはそういう暮らしもあるんだなぁと
子ども心に、妙に納得して観ていたが
現在のように殆どの国民が豊かになって
日本の若者が工場勤めを嫌がるような平成時代に観ると
とても違和感を感じてしまうのは、私だけではないはず
やはりこの物語は昭和という
すべての日本人が目標に向かって頑張っていた時代に観てこそ
心を揺さぶられる物語だったのだと
改めて気付かさせらた。


TVアニメのジョー役の“あおい輝彦”の不良っぽいしゃべりや
力石役の“仲村秀生”の妙に大人っぽいしゃべりが完璧だっただけに
実写版の俳優とどうしても原作のキャラクターを比較してしまうが
マンモス西と白木幹之介は
原作のイメージとそう違和感はなかったものの
勝気な女のイメージが強い香里奈の“白木葉子”と
貧乏暮らしを感じない西田尚美の“食堂の女将”が
ちょっと違和感があり、キャストミスか?

あと倍賞美津子が演じたが一言も台詞がなかった“花村マリ”は
原作にも出てなかったと思うのだが、何者だったのでしょうか???





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最新邦画レビュー

GANTZ 映画レビュー

きびしい批判には惑わされずに鑑賞するべき!



泣ける度☆☆☆☆ オススメ度◎◎◎◎
GANTZ
監督 佐藤信介/脚本 渡辺雄介/原作 奥浩哉/音楽 川井憲次


【映画解説】 公式サイトはこちら⇒
奥浩哉の超人気コミック“GANTZ”を、二宮和也松山ケンイチ
W主演で映像化したSFアクションムービー
死んだはずの人間が、謎の球体“GANTZ”に召喚され、異形の“星人”と呼ばれる
敵との戦いを強いられる、生と死の葛藤を描く。


【映画レビュー】
あちこちのレビューサイトで、厳しい批評があいつぐ中
原作を知らないで観て「最近の邦画の中ではよくできているなぁ…」と
けっこう満足してしまった私はダメなのかしらん?
と思い、高校生の息子に聞いたら
「原作のコミックがCGを駆使していて、とにかく表現力が凄いので
それを実写にするには、やはり難しいんじゃない?」
という話だったので
近いうちに原作コミックをぜひ読んでみようと思ってます。


原作を知らない私の、純粋な映画の評価ですが
やっぱり、企画構成がおもしろいと
映画はおもしろいんだなぁ・・・というのが
第一印象でした。


宇宙人を扱ったコミックは過去にもあったけど
こんな設定で宇宙人が出てくる話は
昭和世代の私には、斬新で驚かされます。

みなさんの批判を見ると
原作のコミックのイメージに拘っている人が多いようですが
原作を知らない私には、二宮くんも松山くんも
なかなか役に合っていたように思います。

出てくる宇宙人も、なかなかユニークで
変にカッコつけていないマヌケなキャラのところが
今の作家が作っているコミックだなぁ、と
妙に感心させられてしまいました(笑)

本作も『ハリー・ポッター』のように次に続くみたいですが
2時間ちょっとのストーリーがよくまとまっていて
次を観たくさせるような終わり方も、上手いなと感じました。

特に就職活動まっただ中でなのに、まだ採用が決まっていなくて
面接官に「君はこの会社でなにがしたいの?」と訊かれ
応えに詰まってしまう主人公の一人“くろの”が
GANTZの世界でもう一人の主人公“かとう”を救うという自分の使命に目覚め
段々と生き生きしてくる様は
現代の≪やりたいことが見つからない≫若者を覚醒させるような
心理をくすぐっているところに人気の理由があると思いました。

『SBヤマト』も本作と同じ40億円をCGに掛けたそうですが
同じ40億円でも、こちら方が上手く使っているように思います。

GANTZルームに召喚されても
すぐに状況を理解できないおじさんたちと
素早く状況を飲み込み、戦うしかないと行動に出る若者たちに
ITになかなか馴染めない世代と
それを欲しいままに享受している世代とのギャップを
見たような気がしたのは、私だけでしょうか?


とにかく、自分の知らないまったく新しい世界を見せてもらったようで
邦画にもネオシネマの波が来たような気がします。
ただ、おもしろい映画の原作がいつもコミックというのが
映画ファンの私としては、ちょっと残念で
もう少し日本映画の企画者たちに頑張ってもらい
オリジナルの原作・企画で、このくらい斬新な映画を作って欲しいものですが
GANTZルームにいきなり素っ裸で登場する夏菜(岸本恵)の
スタイルの良さに免じて、ヨシとしますか・・・(笑)

※P.S
なぜか他の映画とは違い、トレーラーがYou TUBEに存在しません。
取りあえず今あるもので、いちばん内容が解るモノをUPしておきます。




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最新邦画レビュー

 最後の忠臣蔵 映画レビュー

使命の為に生き続けるという武士道


泣ける度★★★★★ オススメ度◎◎◎◎◎ 最後の忠臣蔵
監督 杉田成道/脚本 田中陽造/原作 池宮彰一郎
製作総指揮 ウィリアム・アイアトン/音楽 加古隆


【映画解説】 公式サイトはこちら⇒
大石内蔵助率いる赤穂浪士の吉良邸討ち入り事件で、四十六士が主君に殉じ切腹したが
ひそかに生き残った知られざる二人の男の物語を描く池宮彰一郎の同名小説を
「北の国から」シリーズの杉田成道監督が映画化した、もうひとつの忠臣蔵物語


【映画レビュー】
泣けた!
今年、観た映画の中でいちばん泣けた!
『武士の家計簿』では
新しいカタチの時代劇に、暖かな涙を流したが
本作は忠義の中の忠義、あの『忠臣蔵』を
別の視点でとらえた、まったく新しい『忠臣蔵』だった。

武士道とは、主君の為に命をささげ
主君が果てるときには、潔くお伴をして命を絶つことを
何よりの喜びと感じるくらい
自分が信じて仕えた主のために人生を捧げている生き方
(死生観が現代の我々とはまったく違う生き方)
なのではないか?と思うのだが?


本作の主人公“瀬尾孫左衛門”(役所広司)は
その主君“大石内蔵助”に討ち入り前夜“密命”を託される
それは自分と共に討ち入りして死ぬことを許されず
生きて内蔵助の妾とそのお腹の中の子供を守り
無事育て上げるという大役

主君の命令は絶対の武士道
孫左衛門は泣く泣く、その密命を引き受ける
そして、出産のとき亡くなったのか?母“可留”の代わりに
“可音”と名付けた内蔵助の隠し子を
然るべき家に嫁がせるため、男手ひとつで
16年間育て上げる。

討ち入りで伝令役を務めた“寺坂吉右衛門”(佐藤浩一)も
内蔵助から、残った家臣と四十七士の家族を助け
討ち入りの詳細を後世に伝えよ、という役目を命ぜられ
死ぬことを許されなかった、もう一人の家臣

二人に共通しているのは使命を全うするために
「生かされている」という辛さ
主君を追って「死ぬことを許されない」悔しさ
赤穂四十七士の忠義が評判になり
武士の鑑として語り継がれれば継がれるほど
死に損なってしまった二人には16年もの間
世間の目や裏切り者という思いが強くのしかかり
自己嫌悪感に苛まれる日々を過ごしながら生きるという
屈辱に耐えねばならない
主君と共に命を絶つが武士道なら
主君の命で生き続けなければならぬのも武士道なのだ。


それぞれに生きろ!と命じられた二人だが、その立場はまたっく違う
使命を受けて生き残った藩士と四十七士の家族に
討ち入りの仔細を伝え続ける吉右衛門は
かろうじて日の当たる生き方をしてきたが
密命を受けて内蔵助の娘を育てる孫左衛門は
討ち入り前夜に逐電したとされている、いわば日陰の身
共に16年年の歳月を費やし
やっと使命を全うするときが来たのだが・・・


ほとんどの女の子は
いちばん最初にお父さんに恋をするという
生れて初めて触れる異性がお父さんで
その異性は無償の愛を与えながら育ててくれる
私のまわりにの父親も自分の娘は目に入れても痛くないほど
溺愛している人ばかりだ
幼いころの可音と孫左衛門も
まるで本当の父娘のような、そんな関係だったのだろう
16歳の娘に成長した可音も
御多分にもれず父親代わりの孫左に恋をする
だが、二人は親子ではない
主君の娘と家臣という身分の違いが歴然とあり
可音が成長するごとに距離を置き始める孫左に不満が募る・・・

最後の忠臣蔵2

武士道という厳しい戒律と
微妙な女心とのインモラルな描写も
この映画の見せ場のひとつだ
ふたりの心の葛藤を代弁するかのように
インサートされる人形浄瑠璃「曽根崎心中」
の語りが効いている。

使命を全うするために生き続けるという主君への忠義心
手塩にかけ育て上げた娘(主君の娘だが)への親心
さまざまな想いが重なるラストシーン
孫左衛門の脳裏をよぎる16年間のカットバックには
胸を熱くさせられ、涙が止まらない。

毎年、暮れになると、おきまりのように放映される
ちょっとマンネリ気味の「忠臣蔵」だが
この『最後の忠臣蔵』は今までとは違う
現代の私たちも十分に共感できる
どんな人の心にも通じる、新しい忠臣蔵だ!





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最新邦画レビュー

SPACE BATTLESHIP ヤマト 映画レビュー

この薄っぺらさは何なのだろう?



泣ける度☆☆  オススメ度
ヤマト
監督 山崎貴/脚本 佐藤嗣麻子/原作 西崎義展/音楽 佐藤直紀


【映画解説】 公式サイトはこちら⇒
長年にわたって愛されてきたテレビアニメ「宇宙戦艦ヤマト」を
『ALWAYS 三丁目の夕日』の山崎貴監督が日本最高峰のVFXチームを率い
最新CG映像技術を駆使した実写版の映画化。


【映画レビュー】
あの国民的人気を博した「宇宙戦艦ヤマト」の実写化
ということで、あの頃小学生だった今の40代アニメファンには
上映前からかなり期待されてきた『SPACE BATTLESHIP ヤマト』
私はテレビアニメが放送されたときには、すでに高校生だったので
あまり見ていないのだが
主題歌の「さらば~地球よ~♪…」はよく覚えている。

当初はあまり観る気はなかったのだが
TVでのプロモーションが盛んに行われていたのと
監督が『ALWAYS三丁目の夕日』の山崎貴監督と聞き
取りあえず観に行ってきた・・・

第一印象は、
何で日本のSF映画はこんなに薄っぺらくなってしまうのか?
という、またもがっかりの感想だった。
アニメのイメージを大事にしているのかは判らないが
まあ、主演に木村拓哉&黒木メイサで観客動員数を稼ぐのは
百歩譲って仕方がないとしても
まわりを固める俳優は超一流のベテラン陣で
錚々たる顔ぶれだ
なのに、何故か薄っぺらいのだ!

沖田艦長役の山崎勉は『おくりびと』のときのような
独特の癖がまるで感じられないし
徳川機関長役の西田敏行も人間臭さがまるでない
演出の仕方なのか?なんか真に迫る感じがまるでないのだ
他にも、堤真一、橋爪功、緒方直人、高島礼子などなど
日本アカデミー賞受賞級の役者が勢ぞろいしているのに
その巧さや良さがまるで出てない
なぜか柳葉敏郎と池内博之はハマってたけど・・・(笑)

同じSFものでも『スター・ウォーズ』は
薄っぺらさはまったく感じないし
ハリソン・フォードやナタリー・ポートマン
ユアン・マクレガーなども
ちゃんと本物の未来の船長や未来の女王
ジェダイの騎士になりきっていて
映画の重厚さに一役買っていた。

予算のかけ方が違うと言ってしまえばそれまでだが
「日本映画初の本格SF」と称している割には
CGもこんなものなの?ヤマトの艦内のセットはこれかよ?
といったレベルになっている。

だいたいからして2194年といえば
今から184年も経っている設定なのに
艦内のディスプレイはまだ液晶?
宇宙船のスイッチがレバー式???というチープさ
セットデザインにもシド・ミード級のデザイナー使って
もっと金かけて欲しかったですね、山崎監督・・・
28年も前に作られた『ブレード・ランナー』のほうが
まだ本物ぽかったよ(笑)

原作がアニメということで
その雰囲気を壊さない設定だったのか?
それとも役者が割り切って演じていたのか?

いずれにしても、もともとは大日本帝国海軍の誇る
戦艦大和がモデルでヒントだった『宇宙戦艦ヤマト』だが
TV放映された1974年なら戦後30年ほどなので
最後の“古代進”の台詞は判るだろうが
今の人たちには戦艦大和が撃沈覚悟で出港していった
悲劇のエピソードも知らない人が多くて
まるでピンとこなかったんじゃないか?

木村拓哉はもう“キムタク”しか演じられないと思うので
TVの恋愛ドラマかスマスマのコントドラマで我慢して
映画には出ないほうがいいんじゃない?と
思ったのは私だけでしょうか???

プロモーションのときの話によると
日本最高峰のVFXチームが最新技術で作った
今まで観たことのないCGが完成したと言っていたが
ハリウッド映画と比べたら大したことなくて
エンディングテーマをスティーブン・タイラーに歌わせたことに
お金を使い過ぎちゃったんじゃない?と
思ってしまったのです・・・





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最新邦画レビュー

ノルウェイの森 映画レビュー

村上春樹はこの映画に納得したのか???


泣ける度★☆☆☆☆ オススメ度◎◎
ノルウェイの森
監督・脚本 トラン・アン・ユン/原作 村上春樹/音楽 ジョニー・グリーンウッド


【映画解説】 公式サイトはこちら⇒
映画化は難しいと言われた、村上春樹のベストセラー「ノルウェイの森」を
『青いパパイヤの香り』などのトラン・アン・ユン監督が映画化
主人公の青年の愛と性、生と死をみずみずしい世界観で叙情的につづる


【映画レビュー】
映像は美しく
役者も悪くない
純粋に映画だけ観れば、完成度は高いと思う

だけど、これは村上春樹の伝えたかった
『ノルウェイの森』ではない・・・と私は思う


原作を読んだのは、もうかれこれ20年以上前なので
細かい部分の記憶は定かではないけれど
この本を読んだときの私の第一印象は
心を病んでしまい、自殺してしまった人たちより
普通に生きている人たちの方が
本当はまともではないのではないか?
というものだった

人はピュアな心の持ち主ほど
人を深く愛することができ
そんなピュアな心を持っている人ほど
身近な人の死で深く傷つき
まともではいられなくなってしまうのでは?
身近な人が死んでも、平気でいられる人は(本当は平気ではないが)
それだけ、人として純粋な部分を失くしてしまっているのでは?
人を深く愛せないのではないか?

どちらがまともで、どちらがおかしいのか?
読んでいるうちに判らなくなってくる
そんな思いにさせられる村上春樹の文章力に
とても驚き、感動させられた記憶がある


このトライ・アン・ユン監督の『ノルウェイの森』には
観ている人をそんな思いにさせるような
心理的描写のやりとりが、あまり無い
言葉のひとつひとつに
相手の心を慮るような、心の動揺や、葛藤は
感じられない・・・

村上春樹のあの独特の文体を
映画の脚本にして台詞にするのは
やはり難しいのか???


私はべつに村上春樹ファンではないし
むしろあの独特の言い回しが、あまり好きではないが
『ノルウェイの森』を読んだときには
言葉で頭を強くなぐられたような
そんなショックを覚えるほど
彼の感性と文章力に、感心させられた

映画では難しいのかもしれないが
ワタナベと直子の台詞のやり取りに
精神を病んでいる人と、病んでいない人の
どちらがまともで、どちらがまともではないのか
観ている私たちが判らなくなってしまうような
『インセプション』的だまし絵の
言葉遊びみたいなものが、もっとできなかったのか?
が、少し残念な気がした・・・


世界的に支持され、多くのファンがいる村上文学
その代表的な作品である『ノルウェイの森』だが
原作も読まず、何の先入観も持たずに
純粋に映画として観るならば
3人の巧みな役者たちの台詞の
微妙な言い方やニュアンスと
『青いパパイヤの香り』にも負けない
美しい映像との相乗効果で
トライ・アン・ユン、ワールドに浸れるかも知れない・・・





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最新邦画レビュー

酔いがさめたら、うちに帰ろう。 映画レビュー

アル中をなめたらいかんぜよ!



泣ける度★★★☆☆ オススメ度◎◎◎◎◎
酔いがさめたら、うちに帰ろう
監督・脚本 東陽一/原作 鴨志田穣


【映画解説】 公式サイトはこちら⇒
人気漫画家・西原理恵子の元夫で戦場カメラマンの鴨志田穣が
自身のアルコール依存症の経験をつづった自伝的小説を
ベテラン、東陽一監督が映画化したヒューマンドラマ。


【映画レビュー】
飲み屋のカウンターで酔いつぶれてしまい
イイ気分で家に帰って、トイレに入ったと思ったら
いきなり大量の吐血をして救急車で病院へ
そのまま3日間も昏睡状態で眠り続ける・・・
目覚めた安行と母の会話から
その吐血が10回目だと知り
主人公“塚原安行”(浅野忠信)のアルコール依存症が
半端じゃないことを見せつけられる。


昔からアル中と言われていた【アルコール依存症】とは
薬物依存症の一種で、飲酒などアルコール(特にエタノール)の
摂取によって得られる精神的、肉体的な薬理作用に強く囚われ
自らの意思で飲酒行動をコントロールできなくなり
強迫的に飲酒行為を繰り返す精神疾患である。(ウィキペディアより)
と言われる通り、りっぱな精神病なのだ。

本篇でも安行が治療のために入れられるのが精神病院で
アルコール依存症患者専用の病棟があり
体だけではなく心も治療していかないと
立ち直ることはできないのか・・・と
改めてこの病気の恐ろしさを思い知らされる。

軽いものであれば、頭痛、不眠、イライラ感、発汗、
手指や全身の震え(振戦)、眩暈、吐き気など主に身体的な症状だが
重度になってくると「誰かに狙われている」といった妄想や振戦せん妄
痙攣発作(アルコール誘発性てんかん)なども起こり
幻覚(幻視・幻聴)も頻繁に起こる症状で
小さな虫のようなものが見えたり
いるはずのない人が見えたり
耳鳴りや人の声が聞こえたり
怒りっぽくなったり、抑うつ状態になるなど
完全に精神的な疾患症状が表れる。

本作でも安行には幻覚症状がでたり
ふだん温厚な性格なのに急に怒鳴ったり
同じ病棟の患者に、突然殴られたりするが
当の本人は、まるで覚えていないという
かなり重度のアルコール依存症なのだということがわかる。

この病気は本人が努力して克服する以外に治しようがなく
まわりの家族たちは、ただジッと見守るしかない
そんな、元妻であり母である“園田由紀”役の永作博美の
苦しいけれど逃げずに
すべてを受け入れる芯の強い女の演技が光っている。
父を「おっとしゃん!」と呼ぶ娘と兄の二人の子供たちの
けれんみの無い自然な演技も好感が持てた。

脚本を読んだ途端、この役を好きなように演じたいと
心から思ったというだけあって
あまりお酒が飲めないので酔っ払う機会が無いという
浅野忠信の酔っ払いぶりも、なかなか様になっている。

生来、心優しい性格の安行が
戦場カメラマンという職業上
世界各地の厳しい現実に耐えられず
お酒に逃げてしまったという悲しいエピソードを
退院間際の自己紹介スピーチで語る場面では
思わず目頭が熱くなった。


アルコール依存症患者の治癒率はとても低いらしいが
それを見事に克服し
離婚していた西原理恵子さんとその家族のいる「うち」に帰り
癌で亡くなるまでの半年間を
家族と一緒に穏やかに暮らしたという鴨志田穣氏

「最後にちゃんと帰ってきました。いい男でした。」
という西原さんの残した言葉に
アルコール依存症の夫と向き合い
共に戦い抜いた妻ならではの深い愛情を感じる。

エンディングの忌野清志郎の「誇り高く生きよう」の歌詞も
まるでこの映画のために作ってもらったようで
心にじわ~っと沁みてきた・・・





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最新邦画レビュー

武士の家計簿 映画レビュー

新しい視点の時代劇、配役もパーフェクト!



泣ける度★★★☆☆ オススメ度◎◎◎◎◎ 武士の家計簿
監督 森田芳光/脚本 柏田道夫/原作 磯田道史/音楽 大島ミチル


【映画解説】 磯田道史原作の「武士の家計簿『加賀藩御算用者』の幕末維新」を森田芳光監督が映画化
“そろばんバカ”と呼ばれた加賀藩御算用者の下級武士が、そろばんの腕だけで一家を支え
藩の財政を切り盛りしていく姿を描く異色時代劇



【映画レビュー】
『武士の家計簿』というタイトルだけで
なぬっ?と興味をそそられる

古書店で偶然発見された
幕末期の下級武士の家計簿を基にした実話で
チャンバラシーンは一切なく
まったく新しい視点で描いた異色の時代劇だ!


加賀藩の御算用者(会計係)として
先祖代々仕えてきた猪山家
その八代目の当主、猪山直之(堺雅人)は
剣の腕はからきしだが
そろばんバカと言われるほど
計算と帳簿付けには、天才的才能を発揮し
めきめきと頭角をあらわしていく

加賀百万石と言われるだけあって
加賀藩には100人を超える御算用者(会計係)が
働いていたらしい・・・
100人といえば現代でも中堅どころの
りっぱな会社組織だ
その中でそろばんだけで出世するのは
並大抵の腕ではない!?

そんな直之が自家の借金が嵩み
財政が逼迫していることを知る
このままではお家は潰れてしまうと
年収の倍の6000匁の借金を返済するべく
恥も世間体もかなぐり捨てて
家財一式をすべて売り払い借金返済に充て
残りの借金を計画的に返済するべく
家計立て直し計画を直之が中心になって断行
猪山家の極貧倹約生活が始まる・・・

時代劇と言えば、武士道や仁義、忠義などがテーマで
それゆえの心の葛藤や敵討ちなどを描いたものが殆どだが
この映画の描く武士社会は
現代の私たちの生活と同じような視点で描かれていて
今の自分たちの暮らしと比べながら観ることができ
いろんな点でおもしろい

体面を重んじる武士社会だからこそ
苦しい家計でも、それを繕うために
借金を重ねてしまうという構造が
今の消費者金融などへの多重債務と重なり
いつの世も我慢と自制の強い意志が必要なのだと
改めて考えさせられる

実直で融通が利かないが
そろばんの腕は加賀藩随一という猪山直之の役に
境雅人はピッタリの嵌り役だ
そんな直之を支える献身的で芯の強そうな妻“お駒”も
仲間由紀恵の健気さ勝気さがいい
その他、直之の父、猪山信行役の中村雅俊のおとぼけぶり
直之の母、猪山常役の松坂慶子のお気楽さ
おばばさまの草笛光子の凛とした感じも
すべての役者がそれぞれの役回りにピッタリと嵌っていて
森田監督の力量を改めて感じた

時代劇が苦手な人にも
食わず嫌いせずにぜひ観て欲しい
新しいタイプの時代劇だと思う





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最新邦画レビュー

信さん・炭坑町のセレナーデ 映画レビュー

男の頼もしさは年齢では量れない?



泣ける度★★★☆☆ オススメ度◎◎◎◎
信さん・炭坑町のセレナーデ
監督 平山秀幸/脚本 鄭義信/原作 辻内智貴/音楽 安川午朗


【映画解説】
昭和30年代の福岡県の炭坑の島を舞台に
貧しいながらも明るく元気に生きる人々を描く、骨太なヒューマンドラマ


【映画レビュー】
主人公のひとり、辻内守少年(池松壮亮)のノスタルジックな語りで始まり
物語は展開していく


世の中には、親が早くに亡くなったりして
自分が兄弟たちの面倒をみなければならなくなり
しかたなく子供の世界から抜け出して
早くに大人にならなければならなかった人が
少なからずいるだろう・・・
本作の主人公の“信さん”も、そんな子供のひとり
早くに両親を亡くし、伯父夫婦の家で育てられていた。

ガキ大将の信さんは、両親のいない寂しさからか
町でも評判のワルガキで、父親代わりの伯父の大輔(光石研)も
不憫に思いながらも手を焼いていた。

そんな炭坑の島へ、若い時から島で評判の美人で東京に出て行った
美智代(小雪)が離婚して息子の守(中村大地)と帰ってくる。

島に来て早々、よそ者の守は近所の不良たちに囲まれ
カツアゲされそうになり
そこを通りがかった信さんに助けられる。
息子を守ってくれた経緯を知った美智代は
子供ながらに、頼りがいのありそうな信さんにお礼を言うが
傷だらけの腕を見て、その原因をたずねる。
継母に折檻されたとは言えず、それを隠そうとする信さんを
美智代は何も言わずにやさしく抱きしめる。
それまで出会ったことのない大人の女性のやさしさに
心の中に溜まっていた
我慢していたものが一気に噴き出し
美智代の腕の中で大声で泣きじゃくる信さん・・・

その出来事をきっかけに美智代たち母子と
信さんの微妙な関係が始まっていく・・・


炭坑町を舞台にした映画はいくつか観たが
そのどれを観ても、けっしてその暮らしが裕福ではないことが解る
貧乏生活の不満が、ときには子供への虐待ともとれる
厳しい躾となってしまうのは、仕方がないのかも知れない・・・

でも、この主人公の信さんは
子供ながらに自分の置かれた立場を理解していて
その躾にじっと耐えている。
そんな環境が、信さんをものすごいスピードで大人へと変えていく

実年齢は小学生でも、信さんは
子供たちみんなが“信さん”とさんづけで呼ぶように
精神的には誰よりも早く、大人にならなければならなかったのだ

そんな、自分の息子とそう変わらない歳の男の子に
美智代は男としての“頼もしさ”を感じたのだろう・・・


大人と子供の違いは?
と、尋ねられても、私は即答できないが
あえて言うなら、自立して生きていけるのが大人
自立できずに、誰かの力を借りないと生きていけないのが子供
ということかも知れないが
それは年齢や肉体的なものであって
精神的には歳をとっても、子供のままの大人はいっぱいいる
そんな頼りない大人たちに比べたら、この主人公の信さんは
頼りない旦那ときっぱり分かれてきた美智代からは
誰よりも大人に見えたに違いない

この美智代と信さんの微妙な関係が
この映画のひとつの観どころだ・・・

小さな炭坑の島での
さまざまなな人たちの人間関係を
とてもうまく描いている本作だが

炭坑の島という狭い世界で、もめずに生きていくために
けっして日本人には逆らってはいけないと
息子の李ヨンナム(柄本時生)に諭す在日朝鮮人の父、李重明(岸部一徳)
父の教えを守り日本人の虐めにじっと耐え続けるヨンナムに
なぜやり返さないのか?理解できない守
よそ者の守が何の偏見もなく接することで芽生える
ヨンナムと守の友情には
心を熱くさせられる。


子供のときに、虐めや貧しさから、その小宇宙を抜け出して
早く大人になりたいと思った人は、少なからずいるだろう
でも、たいせつなのは、どんな環境にも負けないで
ひねくれずに、自分の人生をまっすぐに生きていくことなのだ
と、この映画は教えてくれているのかも知れない・・・





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最新邦画レビュー

悪人 映画レビュー

みんな心の隙間を埋めてくれる誰かを求めてる・・・



泣ける度★☆☆☆☆ オススメ度◎◎◎◎
悪人
監督・脚本 李相日/原作・脚本 吉田修一/音楽 久石譲



【映画解説】
朝日新聞夕刊に連載され、毎日出版文化賞と大佛次郎賞を受賞した
吉田修一の話題作を『フラガール』の李相日監督が映画化した犯罪ドラマ。


【映画レビュー】
主演女優・深津絵里が『第34回モントリオール世界映画祭』
最優秀女優賞を受賞したことで話題になっている映画『悪人』

劇場は老若男女を問わず、様々な世代の人で埋まっていた
時間と予算の関係か、原作のいろんな部分がカットされ
登場人物もだいぶ省かれているが
映画は映画でよくまとまっていた


物語の中心は出会い系サイトで知り合ったOL“石橋佳乃”(満島ひかり)を
ある経緯で殺してしまう青年“清水祐一”(妻夫木聡)と
その青年と逃亡を図るやはり出会い系サイトで知り合った女性
“馬込光代”(深津絵里)が中心となっているが
その青年の過去や育った環境
一緒に逃げる女性の満たされない日々の生活
殺されてしまったOLの性格や死に至る原因
その状況を作り出してしまう旅館の御曹司のボンボン
“増尾圭吾”(岡田将生)の心ない素行
などが複雑に絡み合って
本当の“悪人”とは誰なのか?を観客に問う
心の物語である


世の中でもっとも許されざる行為は“殺人”である
と誰もが当然のように思っているが
この映画を見ていると本当に許せないのは果たしてそうなのか???
と思えてくる。
人は善悪の判断を含め、頭でモノを考えて行動するが
いちばんしてはいけない行為は
人の心を踏みにじる事なのではないか?
純粋な心ほど、踏みにじられた時のショックは大きく
そのダメージは計り知れない
本作にはそんな卑劣な行為がいやというほど散りばめられている


・幼い子供を港にひとり置き去りにして男と逃げてしまう母親
・巧みな話術で老人を騙し、なけなしの金を巻き上げる悪徳医薬品業者
・自分の見栄のために親にも友達にも平気で嘘をつくOL
・自分本位で男を値踏みし目の前で男のプライドを踏みにじるOL
・そのOLをドライブに誘い気分次第で夜の山中に車から蹴り捨てる男
・プライドを傷つけられた自分を救ってくれようとする男に
 逆に腹癒せに自分を犯したレイプ犯に仕立ててやると罵るOL
・出会い系サイトでも純粋に恋人を求めていた女性に
 SEXが済むとまるで娼婦を扱うようにお金を手渡す男
・殺されたOLの父に謝りもせず殴り倒した揚句その無様さを
 おもしろおかしく周りの友人に喋り捲る男

そんな人でなしの人間の持つ“負の心”マイナスのフォースが絡み合って
結果的にこの殺人事件は起きてしまう
この殺人はそういった心ない人たちの
負の心の連鎖から生まれた悲しい結果なのだ

深津絵里の演じる“光代”は
そんな人殺しの“清水祐一”と、あえて逃避行する道を選ぶ
それは何故か?

結果的に人を殺してしまったが本来おとなしくて優しい性格の“祐一”は
彼女の満たされない心を埋めてくれる何かを持っていた
“祐一”も自分の心の隙間を“光代”が埋めてくれると感じた
まるでジグゾーパズルのピースがピタッと嵌るように
お互いに今まで自分がずっと求めていたものを
満たしてくれる相手をやっと見つけた
もしかしたらそれは男と女の直感のようなものかも知れないが
変化のない生活の中で“祐一”と出会ったこと
求められるままにその日のうちに関係を持ってしまったこと
行為の後にお金を渡され、深く傷ついたこと
それを後日わざわざ長崎から謝りにきた彼に心が救われたこと
旅の途中で彼が殺人を犯したことを知ったこと
頭では分かっていても心が、自首しようとする彼を引き留めてしまったこと
そんな彼女の心の葛藤や微妙な変化を演じきったことが
最優秀女優賞獲得に結び付いたのだろう


原作は映画には出てこない様々な登場人物の
もっと細やかな心理描写と感情表現で
さらに深く人の心の葛藤を描いているが
李監督との共同脚本になっているので
映画で削除された部分は原作者も納得のうえなのだろう


原作者の吉田修一がこの物語で伝えたかったこと
それは各章の題

第一章 彼女は誰に会いたかったか?
第二章 彼は誰に会いたかったか?
第三章 彼女は誰に出会ったか?
第四章 彼は誰に出会ったか?
最終章 私が出会った悪人

からも感じ取れる


親?子供?友達?恋人?人によって生れる心の隙間はさまざまだが
人は誰もが本当に心を満たしてくれる相手を求めている

たとえその入り口が出会い系サイトだったとしても
人と知り合える機会が限られた地方都市ではしかたがないのか・・・





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最新邦画レビュー

BECK 映画レビュー

永遠のギター小僧必見!音楽魂が甦る!



泣ける度☆☆☆☆☆ オススメ度◎◎◎◎
BECK
監督 堤幸彦/脚本 大石哲也/原作 ハロルド作石
音楽 GRAND FUNK ink


【映画解説】
メジャーデビューを目指して奮闘する高校生たちが
さまざまな試練を乗り越えていく姿を描く
ハロルド作石による人気音楽マンガを
堤幸彦監督が映像化した青春音楽ムービー


【映画レビュー】
人気コミック『BECK』が映画化されるとなれば
永遠のギター小僧である吾輩が観に行かない訳にはいかないな
と思い、さっそく映画館へ・・・

映画化のために、あんなイケメンばかり揃えて
肝心のBANDの演奏は大丈夫か?と心配でしたが
やっぱ、俳優ってすごい!
短期間の集中練習であれだけ弾けるようになっちゃうなんて!
アップの指使いとかは
プロの吹き替えを使っているのでしょうが
取りあえずある程度までは弾けないと
ライブの乗りもガタガタになっちゃうだろうから
それぞれのパートが、結構サマになっていたところに
猛練習の跡を感じました。

原作の方は、友達の漫画好きに前から勧められていて
読もう読もうと思ってたのですが
結局、映画が先になってしまった・・・

原作の『BECK』は
天才ギタリストの“南竜介”と
天使の歌声?を持つ“田中幸雄” (通称:コユキ)との
出会いから始まるバンド“BECK”の成長の様子を描いているらしいけど
映画化に当ってファンの誰もが心配していたのは
“コユキ”の歌声と歌唱力

映画で最初にコユキの歌が凄いことを知るのは
竜介のバイト先の釣り堀で
真帆が歌う“DYING BREED”の曲をコユキが口ずさんだ瞬間
その歌声に真帆が圧倒されるシーンだが
実際には歌声は聴こえず、不思議な効果音と情景のカットバック
コユキの口パクで、その神秘的な歌声が表現されている
そのシーンを観た瞬間
「おっ!さすが堤幸彦、最後の最後のコンサートシーンまで
この神秘的な歌声を取っとくのね!」やるなぁ・・・
と思って、最後のコユキの歌声までワクワクしていたのに
ラストの“グレイトフル・サウンド”でのクライマックスシーンでも
同じように英語の歌詞のスーパーだけで歌声を聴けなかった途端
「最後の最後も口パクかよ!そりゃないぜ!」と
ガックシきてしまったのは私だけではないはず

そりゃあ、誰もがウットリと聴き惚れて
陶酔してしまうような歌声の持ち主は
そう簡単に見つかるものじゃないと思うけど
吹替えでもいいから最後クライマックスは堤幸彦なりの“天使の歌声”はコレ!
というものを聴かせて欲しかったですね。

ずっと前に読んだ村上龍の「コインロッカーベイビーズ」に
“ハシ”と“キク”という主人公がでてくるのだけれど
その“ハシ”も一度聴いたら誰もが痺れてしまうような
この世のものとは思えない歌声の持ち主で
あの小説も確か映画化されたような記憶があるけど
(スミマセン私の勘違いでした、これからだそうです・・・)
聴いた人の誰もが圧倒され痺れてしまうような歌声を見つけたら
それだけで、こういう映画は、ほぼ完成したと言ってもいいでしょうね!
(ハリウッド版コインロッカーベイビーズはどんな声を選ぶのか楽しみです)


噂によると今回は原作者の“ハロルド作石”の強い希望でそうなったとか?
でも、実写で映画化したんだから
やっぱり音楽に一過言あるという堤監督なら
原作者と戦って欲しかったですね

でも、一度聴いたら忘れられない歌声となると
『もののけ姫』の“米良美一”みたいな人に
なっちゃうんだろうなぁ・・・?


私がロックにハマっていたのは1970~1980年代で
やっぱり“LED ZEPPELIN”や“DEEP PURPLE”なんかの
ギターフレーズに聴き惚れていましたが
BECKといえば“JEFF BECK”で
この映画のテーマ曲の
“LED HOT CHILI PEPPERS”や“OASIS”は
一つ後の世代(いや二つ以上かも)で
堤監督は同年代なのにテーマ曲も
やはり原作者のハロルド作石の世代になっているのが
ちょっと悔しかったというか時代を感じました
ロックは‘70年代か‘80年代に行くところまで行ったと思っている私には
何でレッチリ?何でオアシス?という感じでした・・・

でもイケメンの俳優たちも凄く頑張っていて
堤監督自身が語っているように
原作のイメージを裏切らない“本気”のバンド感は
しっかりと伝わってきたし
『ソラニン』のときにも感じた、あの頃の熱い想いを
久々に感じさせてくれた傑作バンドムービーです

オヤジバンドで未だに頑張っている方々も
あの頃の熱い想いを思い出したい人には
ぜひ観てみていただきたい作品です。

でもBECKのメンバーではなく“斎藤”役のカンニング竹山が
自分に見えてきてしまっても知りませんよ・・・(笑)





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最新邦画レビュー

ちょんまげぷりん 映画レビュー

今の東京が忘れかけているもの・・・



泣ける度★★★☆☆ オススメ度◎◎◎◎◎
ちょんまげぷりん
監督・脚本 中村義洋/ 原作 荒木源/音楽 安川午朗


【映画解説】
180年前の江戸から現代にタイムスリップしてきた侍が
ひょんなことからシングルマザーの家庭に居候してお菓子作りの才能を開花させ
人気パティシエになるてん末を描くハートフル・コメディー



【映画レビュー】
保育園に間に合わないので残業はできない
時間がないので食事はすべて冷凍食品をチン!
公共の場で子供が騒いでも厳しく注意しない
ふだん寂しい思いをさせているので
ついつい甘くなってしまう・・・
そんな母子家庭の典型ともいえる
ひろ子(ともさかりえ)と友也(鈴木福)
のっけから現代社会が抱える奥深い問題が山積という本作だが
それに気づかせてくれるのは
江戸時代からタイムスリップしてきた侍だ

木島安兵衛(錦戸亮)
はるか江戸時代から
突然現代の東京、巣鴨へタイムスリップしてきた直参だ

元来武士の生活はいい加減では成り立たない
特に安兵衛がタイムスリップしてきた江戸末期は
徳川幕府に仕える旗本のシステムが確立された
いわゆるサラリーマン侍の典型
ライバルも多く手柄を立てる機会もないから
毎日せっせと言われた仕事をキチンとこなしていかなければ
お役御免になってしまう
いいかげんでは武士は務まらないのだ

そんな勤勉で実直な性格が
現代社会の見て見ぬふりに納得がいくはずがない
キチンとしなければならないことはキチンとする
そこでハマったのがお菓子作り!
お菓子は他の料理より材料の分量で味に大きく差がでる
典型的なキチンとした料理
加えて刃物の扱いに関しては
誰よりも慣れている武士ですから!

そんな男性版キチンとさんが
パティシエコンテストで負けるはずもなく
更なる高みに向かって寝食を惜しんで猛勉強
そこで、またまた現代社会の働く女との雇用問題にぶち当たる

安兵衛の言うように江戸時代は
奥向きの御用は女の仕事
表向きの御用は男の仕事
というバランスで成り立っていた
だが現代は片方の収入だけでは子育てもままならぬ厳しさから
共働きぜざるを得ない家庭がかなりの割合で増えている
夫婦の共同作業としての子育てならば
女性が働いていてもなんとかなるとは思うが
母子家庭で子育てとなると
ありとあらゆる障壁が山積しているのが現代社会の現状だ

この映画は一風変わったハートフルコメディのようだが
江戸時代の侍の視点で
現代社会の問題点を鋭く抉っている
問題提起的な映画でもある

中村義洋監督らしく
細かい会話のひとつひとつに
思わず笑ってしまうのだが
気づくと笑いながら涙している自分がいる
さすが『ゴールデンスランバー』のヒットは伊達じゃない!


スイーツ好きな方はもちろん
シングルマザーも
シングルファザーも
ダブルインカム夫婦も
自分の子育てを改めて見直す気になる
子育て奮闘中の方々に是非見てもらいたい秀作です!





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FLOWERS‐フラワーズ 映画レビュー

女にしかできない“命”のリレー



泣ける度★★★☆☆ オススメ度◎◎◎◎
FLOWERS
監督 小泉徳宏/脚本 三浦有為子
製作総指揮 大貫卓也/音楽 朝川朋之




【映画解説】
昭和初期から平成にかけて親子三代にわたって
それぞれの時代で、精いっぱい自分らしく生きる6人の女性たちを
日本を代表する6大女優で描いた、命をつなぐ物語


【映画レビュー】
時代劇などを観ていると
昔から世継ぎを生むために、嫁は必死で
跡取りとなる男の子を産もうとする
日本では、その家を継ぐのは
男でなければならないからだ
でも家督を継ぐのは男だけど
命を継ぐのは女なのだということを
この映画を観ていると
改めて痛感させられる


子供を持つ親なら誰もが経験する
自分の血を分けた命が生まれる瞬間の
他では味わえない喜び
現代医学では男か女かを生み分けることもできるようだが
子供が生まれるときには誰もが
もう男でも女でもいいから
五体満足に生れてきて欲しいと願うだろう
それほど、この世に生まれてくる“命”とは
尊いものなのだ

この『FLOWERS』は昭和の初めから現代までの
女系家族の命のつながりを
今をときめく豪華女優陣で描いている
某化粧品会社のシャンプーと同じキャスティング
同じCDと同じ広告代理店が関わっているということもあって
ただのスポンサープロモーションムービーと思われがちだが
そこは、さすがROBOT!
純粋に映画として観ても、とてもよくできていて
変な色眼鏡で観ないほうがいいという事を
前もってお伝えしておく(食わず嫌いは損ですよ!)


本作は時代を越えて描かれる家族の物語である
本作を観ると改めて家族の命を受け継いでゆく
ということの大切さを、思い知らされる
昭和11年から平成21年にかけて
それぞれの時代を、ひたむきに
自分らしく生き抜いてきた三世代の女性たちを
映画は淡々と描いているのだが
そこは数々の広告賞を獲得してきたスタッフだけに
様々な部分で、映画としてのおもしろさも
ちゃんと計算されている

蒼井優が演じる“凛”のシーンは
モノクロ映像をうまく使いこなし
小津安二郎を思わせる、昭和初期の映像
竹内結子、田中麗奈、仲間由紀恵、演じる
“薫”“翠”“慧”のシーンは
日本映画全盛期のテクニカラー映像で
クレイジーキャッツや若大将シリーズを思い出させる
鈴木京香、広末涼子、演じる“奏”“佳”のシーンは
最新の高精細映像で美しい!
そしてタイトルにもなっている様々な“花たち”が
日本の四季折々の美しい映像の中で
更に美しく輝いている


単調になりがちな親子三代のお話も
見事な構成と巧みな編集ワークで
退屈さを微塵も感じさせない
特に“佳”役の広末涼子の誕生に関わるエピソードには
思わず熱い涙がこみ上げてくる


私は息子二人で娘はいないが
この映画を観ていたら
やっぱり娘が一人くらい欲しかったなぁ・・・
と思わされた

娘のいる方は、ぜひ親子で鑑賞してほしい
日本人の心に触れる命の物語である


でもやっぱり
広告のスタッフはプロモーションも
スポンサーの引っ張り方も
うまいですねぇ・・・





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孤高のメス 映画レビュー

日本人の心に響く“サムライ魂”ムービー!


泣ける度★★★★★ オススメ度◎◎◎◎◎
孤高のメス2
監督 成島出/脚本 加藤正人/原作 大鐘稔彦


【映画解説】
自身が現職の医師で、誰よりも医療事情に精通している大鐘稔彦の同名小説を基に
地方の市民病院に勤務する外科医が旧弊な医療現場で困難な手術に立ち向かうさまを描き
現代の医療問題に鋭く切り込む衝撃的な医療ドラマ


【映画レビュー】
われわれ日本人の心に響くものとは何だろう?
たぶんそれは
遠く武士の時代から受け継がれてきた
“義”の心なのではないか?
孤高のメス』を観ていつの間にか流している涙は
自分の中にあるそんな“義”の部分の
琴線に触れた涙なのではないかと思う


昔から邦画の代表である時代劇も、やくざ映画も、戦争映画も
私が感動する映画は必ず“義”の精神が描かれている

本当はだけれどのために断腸の思いで
仕方なくするというパターンだが
パターンが分かっていても、いつの間にか泣いている自分がいる
そんな“義”の精神の裏にある
無念さ、誠実さ、潔さに、我々日本人は(私だけ?)
感動し、納得し、涙を流してしまうのではないか?

本作の描いているのは
その種の“忠義”の“義”ではないけれど
人の命を救う為に
たとえ殺人罪に問われる可能性があっても
自分の医師生命を捨てる覚悟で
違法行為である脳死肝移植の手術に臨む
外科医“当麻鉄彦”(堤真一)の
医師として信念を見事に描いている

「目の前に助けて欲しいと願う患者がいたら
全力で救おうとしなければ医師ではない」と言い切る当麻
それは医師という“人の命”に係わる仕事に真摯に向き合う
当麻鉄彦の外科医としての、ある種の“義”なのだ

アメリカ帰りの優秀な外科医なのに
地域医療に身を捧げるため
あえて、古びた漁村のさざなみ市民病院にやってきた当麻
それは、制約の多い都市部の大学病院に
疑問を持ったからだけではなく
彼が医師を志す決め手となった
幼い時のある出来事が大きく影響している

そのエピソードを自ら友人に語るシーンでは
この医師の外科医としての信念
“救える命は絶対に救う”という志の高さが垣間見られ
誰もが心を熱くさせられる

身近な人や本当にたいせつな人を救えなかったり
自分自身が、生死の間をさまよっった末、助かった人が
ひとりでも多くの命を救いたいという強い願いから
医師を志し、やがて誰もが認める名医となるとき
“命”に対するその執念は普通の医師とは格段に違う

タイトルの『孤高のメス』は
まさにそんな患者の命を救う外科手術に
その人生をかけた医師の物語にふさわしい!

演出も構成もキャスティングも完璧といえる本作

病院に勤めながらも、たらい回しにされた揚句
亡くなってしまう“弘平”(成宮寛貴)の母である
看護婦の“中村浪子”(夏川結衣)の葬儀のシーンから
映画は始まるのだが、当麻医師の助手を務めた
その母の残した日記を弘平が見つけ
読み始めることで浪子のストーリーテラーという形で
物語は展開してゆく

日記が語られるに連れて
当麻鉄彦の手術手腕の見事さ
誰にも媚を売らず、すべての人に平等に接する人柄
いつでも患者の容態を最優先する
医師としての真摯な姿勢などが
段々と分かってくる

孤高の医師“当麻鉄彦”役の堤真一
少しでもその役に立とうと一生懸命助手を務める
看護婦の“中村浪子”役の夏川結衣
苦渋の決断で脳死した息子の臓器提供を申し出る
母親“武井静”役の余貴美子も
他にはいないという最高の配役と最高の演技で
この映画の感動を何倍にもしてくれている

手術シーンも実にリアルで
その手際の良さと真に迫る映像で
堤真一も夏川結衣も本物の医師とナースか?と見紛うほどだ

孤高のメス3


私も鑑賞後に知ったのだが
手術中にガーゼを並べるガーゼカウント
(患者の体内に針やガーゼが残らないように
、 手術中は針カウントとガーゼカウントを行うのが基本)
など、実際の手術に基づいた演出をリアルに行っていて
その辺の監督のこだわりが
本作をより本格医療ドラマに仕上げている

そして観ていて熱くさせられるのは
当麻の見事な手術を目の当たりにし、それを手伝ううちに
周りの医師や看護婦たちが
それまで諦めていた“命”に対する取り組み方が変わっていくこと
特にストーリーテラーも兼ねている浪子自身の仕事に対する意欲
昔は嫌だった手術の助手が、当麻医師と共に命を救える喜びに変わっていき
母子家庭で帰りの遅い母を、泣きながら保育園で待っていた息子の弘平が
その母の変化を敏感に感じ、笑顔で母を迎えるようになっていく様子など
ひとりの外科医“当麻鉄彦”がこの病院で働く人たちを始め
この村の人たちに与えた影響が計り知れないことが
観ている私たちにも、ひしひしと伝わってくる


この映画の描く1989年当時は
日本の地域医療のレベルも、都市部の大学病院とは
今よりも格段に差があったのかもしれない
大都市の大きな病院だったら助かったはずの命が
地方の医療設備も整っていない小さな病院だったために
助からなかったケースは多々あったろう
特に直接手術で執刀する外科医の
オペの手腕によってその明暗は大きく左右されただろう


20年余りの歳月の間には
様々な医療事故などの問題も、いくつか耳にした記憶がある
でも、今や地方都市にも医療設備が整い
安心して手術が受けられる病院も数多く生まれた

医師不足問題が叫ばれている昨今だが
本作の弘平がそうだったように
当麻鉄彦のような高い志を受け継ぐ医師たちに
もっともっと登場してもらい
信念を持って“人の命”を扱う仕事の大切さを
未来永劫、受け継いでいって欲しいと強く感じた
珠玉の日本映画である







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最新邦画レビュー

ねこタクシー 映画レビュー

全12話を106分に納めるのはやはり厳しい?



泣ける度☆☆☆☆☆ オススメ度◎◎◎
ねこタクシー
監督 亀井亨/脚本 永森裕二 、イケタニマサオ/原作 永森裕二
製作総指揮 吉田尚剛/音楽 野中“まさ”雄一



【映画解説】
万年ダメオヤジが運命の猫と出会うことによって勇気と元気をもらい、
新しい人生を切り開いていく姿を描く
猫と人間の友情をテーマにした心温まるヒューマン・ドラマ。


【映画レビュー】
動物によって人間が救われてゆく話は
他にもよくある話だが
ねこをタクシーに乗せるという発想は
なかなかユニークでおもしろい

元来、ねこはあまり人の言う事を聞かない
GOING MY WAY的な性格の動物
犬ではなく猫派の人は
そんな自分の自由にならないところが
ねこの魅力なのだと語る人が多い
だが本作の“御子神”さんは
まるで犬のように人懐っこく
どんな人に触られても嬉しそうに目を細め、喉を鳴らす

IPTVのドラマで話題になり映画化された『ねこタクシー』だが
ドラマでは “間瀬垣勤”(カンニング竹山)の
対人恐怖症気味の性格やダメダメぶりが
怒りキャラの竹山とは全く逆の情けない演技で
段々と分かるように演出されているのだが
映画にすると時間の関係で端折られているようで
本来のダメな性格のニュアンスがうまく伝わっていなく
とっても惜しいのだ

ねこをタクシーに乗せるようになってから
それまで全く会話できなかったのに
次第にお客さんとまともな会話が
できるようになる間瀬垣の変わり様や
それまで会話すらなかった娘の“瑠璃”(山下リオ)との距離感
ねこを介在することにより
お客さんたちの様々な人生を垣間見れるおもしろさなど
すべての厄が“御子神”さんによって取り払われていき
しだいに運が向いてくる“御子神”さんの招き猫ぶりが
映画だと展開が急がし過ぎてイマイチ有難味がない
ドラマがおもしろかっただけに
実に惜しいところだ

お客さんとのエピソードも、もう少し増やして
ドラマのニュアンスをもっと伝えられたら
観る人の評価もずっと上がったに違いない

気になった人はぜひTVドラマも観て
確かめて欲しいと思う。







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最新邦画レビュー

アウトレイジ 映画レビュー

ただの殺し合いでは賞は取れない?


泣ける度☆   オススメ度
アウトレイジ
監督・脚本 北野武/音楽 鈴木慶一



【映画解説】
アウトレイジは極悪非道を意味し、登場人物すべてが悪人という
ヤクザの世界で男たちが生き残りを賭ける、異色のバイオレンス・アクション。


【映画レビュー】
前評判に期待して『アウトレイジ』を観てきたが
ハッキリ言ってガッカリである
あの内容で賞を狙いに監督自ら会場に出向いたのは信じられない


ヨーロッパ、特にフランスやイタリアの映画監督には
リュックベッソンやガイリッチーなどの
アクションものやハードボイルドものの
得意な監督の作品がたくさんあるので
いくら日本の“YAKUZA”とはいえ
あのくらいの殺しには慣れっこだろう

本場のマフィアに慣れている?欧米の人たちに
バイオレンスアクションと称して
拳銃を撃ちまくったり、殺しまくっても
それがどしたの?的な反応だったろうと思われる

少し前に『あるいは裏切りという名の犬』という
オリヴィエ・マル シャル監督の
フレンチノワール映画が評判になったが
同じように暗黒街を描いていても
裏切りなどに対する悔しさ、女に対する嫉妬など
人間の心の機微や葛藤にスポットを当てている
今回の北野作品『アウトレイジ』には、その辺の描写が足りない
巨大暴力団組織にいいように使われ、裏切られてゆく
大友組の組長・大友(ビートたけし)の悔しさや
組を守ってゆくための葛藤などがもっと描かれていれば
それなりに好評価につながったのでは?

『キッズ・リターン』や『あの夏、いちばん静かな海』など
元来、人間の心の葛藤を描くのが上手い北野監督だから
あえて今回そういった部分をカットして
暴力の嵐を描いて見せたのかもしれないが
同じ不条理な殺しを描くなら
“ガイ・リッチー”や“タランティーノ”の描く
リズミカルな描き方の方が断然スカッとして切れがいい

今村昌平監督の『うなぎ』が
第50回カンヌ映画祭でグランプリを受賞したのは
妻の浮気に逆上し殺してしまった男、山下拓郎の
殺したいほど愛していた『愛』を描いていたからだ

日本のやくざ映画にファンが多いのは
彼ら裏社会の人一倍熱い義理人情が
人間が本来持っている心の琴線に触れるからではないのか?

やはり人を感動させるためには
“心”を描く必要があるのでは?

そういった意味でも今回の北野監督の描いた“殺し”は
欧州の人たちには中途半端に映ったのではないか?

北野映画ファンには、ぜひ観て確かめてほしい作品だ





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最新邦画レビュー

告白 映画レビュー

本当の犠牲者と真の加害者とは???


泣ける度☆☆☆ オススメ度◎◎◎
告白
監督・脚本 中島哲也/原作 湊かなえ


【映画解説】
2009年本屋大賞に輝いた湊かなえの同名ベストセラー小説を
『下妻物語』『嫌われ松子の一生』『パコと魔法の絵本』の中島哲也監督がメガホンを取り
教え子にまな娘を殺された中学校教師の復讐(ふくしゅう)を描く衝撃のミステリー



【映画レビュー】
この作品を原作を読まずに観た人は
かなりショックだったに違いない

原作の小説も『告白』というタイトル通り
登場人物が本心を赤裸々に語っているため
かなりリアルな心理描写と残酷シーンがショックなのだが
映画はそれをじかに映像で目の当たりにされるため
映画から観た人はインパクトが強すぎるかも知れない

日本天然色映画のCMディレクター時代から
映像にかなりのこだわりを持っていた中島哲也監督
映像に関しては一切妥協しない彼の演出が
この作品をより一層インパクトあるモノに仕上げている。

原作通りいきなり子供を生徒に殺されたと語り出す
長い長い告白から始まる本作だが
誰もが理由もなく殺された森口悠子(松たか子)の娘
愛美(芦田愛菜)がいちばんの被害者だと思うだろう
だが、この物語の本当の犠牲者は
加害者である少年Aこと“渡辺修哉”なのではないか?
そして真の加害者はその母親ではないのか?

『プレシャス』でもそうだったように
物心ついた子供にとって最初の判断基準は親である。
子供に善と悪の倫理観を教えることが
親が最もしなければならない大切な仕事なのだ

世の中にはわが子を虐待する親のニュースがよく流れるが
そんなニュースを聞くたびに“いじめ”の連鎖反応を疑う

親が愛情をいっぱいに注いで育てた子供は
人を愛する事の大切さを学ぶ
それは頭で学ぶのではなく心が学ぶのだ
口でいくら褒めて育てても
心が伴わなければ子供はすぐに見抜く

親が何気なくしている小さな仕草の一つ一つまで
子供はじっと観察し見ているものだ
子供にとっては今いる小宇宙しか学ぶものはないのだから
その中で必死にあらゆることを吸収していく
そうした一連の生活の中の出来事で
子供の中に自然と善悪の基準が出来上がっていく

人の悪口を平気で言う親に育てられた子供は
人の悪口は悪くはないという基準を自分の中につくるだろうし
道端に平気で痰や唾を吐く親に育てられた子供は
痰や唾を道端にはくことは悪いことではないという基準が自分の中に出来上がる
親に理由もなく叩かれたり殴られて育った子供は
理由もなく他人を叩いたり殴ったりする事に何の抵抗もなくなる

生活の中で日常的に繰り返される行為は
その人の心にその行為に対する基準を作っていく

本作の渡辺修哉の人格は
幼いころに理由もなく母親から受け続けた暴力と虐待
でも成績がいいと抱きしめられ褒められるという
子供からしてみれば訳が解らない矛盾した行為
そしてその結果できあがった彼の基準は
頭のいいやつしか認めない
人を傷つけることなど誰もがやっていること
という歪んだ人格
でもその根底にあるのは
いつか母親に認められたい、褒められたいという
子供ならだれでも持っている素直な感情だ

もう一人の加害者、少年Bの“下村直樹”も
別の形での親の犠牲者だ
映画にはないが原作の小説は
少年Bこと下村直樹の姉が告白する章で
その父親不在の家庭がすでにバランスを欠き崩壊していること
それ故そのストレスを息子を偏愛することでバランスを保つ母親
二人の姉と母親の過保護なまでに愛され
お手本となる男親がいない環境でそだった少年Bは
内気で目立たない普通の少年であること
何か障害があるとそれに立ち向かおうとせず
避けてきたため何かにつけて長続きしなかったこと
そのくせプライドだけは高く
友達と呼べる人間はクラスにいない
そんな彼の性格を見抜いた少年Aに狡猾に利用され
助けられたはずの森口先生の娘を
少年Aに対する意地と嫉妬で殺してしまったことなど
同じ愛情でも注ぎ方を間違えると
善悪の判断ができない気弱な人間に育ってしまうことがうかがえる


心と体のバランスがいちばんとれない
大人でもない子供でもない中学生という時期
世の中を変えるようなことが何だってできる自分と
世の中に対して何もできない弱く無力な自分が共存し
一人悩み葛藤するが、けっして答えは出ずに更に悩み続ける
そんな精神的に不安定なときに
ほんの些細な事がきっかけで暴走してしまう二人の少年

本作には現代社会が抱える様々な問題が
至る所に見てとれる

賛否両論、物議を醸しだしている作品だが
映画だけ観ずに原作の小説も読むと
また違った感想を持てると思うので
ぜひ原作も一読されることをお勧めする






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最新邦画レビュー

RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語 映画レビュー

大切なものは記憶の深いところに眠ってる


泣ける度★☆☆☆☆ オススメ度◎◎
REILWAYS
監督・脚本 錦織良成/脚本 ブラジリィー・アン・山田 、小林弘利
製作総指揮 阿部秀司/音楽 吉村龍太

【映画解説】
仕事に追われ、家族を省みることのなかった50歳目前の男が、
あることをきっかけに人生を見つめ直し、幼いころの夢を追い求め始める感動ストーリー


【映画レビュー】

『RAILWAYS』49歳で電車の運転士になった男の物語
タイトルからして人生を感じさせる本作
中井貴一の実直そうなイメージと
電車の運転士という役柄はピッタリだった


世の中には鉄道ファンは100万人いるらしいが
確かに子供の頃(特に男の子)は物心つくと
動くものに興味を持ち始め
大きくは電車派と車派に分かれるそうだ
その電車派の子の何分の1かが
そのままずーっと電車に興味を持ち続け
鉄道関係の会社に就職し
鉄道マン人生を歩むことになるのかも

でも、ほとんどの電車派の子供は
いつの間にか電車から離れ
大人になって生活の為に別の道を見つけ
趣味として鉄道模型に走ったり
休日にカメラを持って
好きな電車を追いかけて
遠くの田舎町まで出かけていき
ベストショットを写して
大切にアルバムに飾ったりしているのだろう

本作の主人公“筒井肇”(中井貴一)も
いつの間にか夢をあきらめ
生活や家族のために
企業戦士として毎日戦い続けている

が、そんな彼がふと自分の人生を
見つめ直すことに出会う
それは、会社で同期の唯一の親友の死と
遠い田舎で一人で暮らす母の発病

それまで家族も顧みず夢中で走り続けてきた
自分の人生のレールの行き先に
ふと疑問を感じてしまう

そして残りの人生をどう生きるべきか
自分が本当にやりたかったことは何なのか
改めて見つめ直し
もう一度夢に向かって挑戦してゆく…


とても、いい話で
特に盛り上がるでもなく
電車が走るがごとく、坦々と物語は進行してゆく
観た人の評価も高く
私もいい映画だとは思ったのだが
なぜか泣けはしなかった

私が映画を観終わったときに感じたことは
“帰れる場所がある人はいいなぁ…”だった
東京で生まれ、東京タワーの下で育った私も妻も
帰りたくても帰れる田舎がない
今住んでいるマンションも
盆暮れにはほとんどの人が帰省し、ひっそりとして
駐車場もガラガラになる
そのたびに「帰れる田舎がある人はいいねぇ…」と
妻と話している

「ALWAYS三丁目の夕日」は
自分が生まれ育った
東京の我善坊町近辺を舞台にした話だったから
自分の子供の頃の記憶がよみがえってきて
とにかく泣けて泣けて仕方がなかった

この映画は子供の頃に美しい田舎で育ち
盆暮れには必ず帰省して
都会での疲れを癒して帰ってくる
そんな人たちの記憶の琴線に触れる映画のような気がする


子供の頃に初めて見たモノ
初めて触れたモノ
初めて感じたモノは
いつまでも記憶の奥深いところに残り
その人の感性や判断基準になっていると思う

主人公の筒井肇がバタデンの運転士に憧れたのも
初めて見たバタデンがとてもカッコ良く
大きく立派に見えたからに違いない
そんな子供の頃の記憶が
いつまでも心の奥深いところで消えずにいたから
改めて人生を見つめ直した時に
運転士になる決心をしたのだろう

そんな彼とは対照的に
この映画には自分の夢を諦めた
もうひとりの運転士“宮田”(三浦貴大)が登場する

49歳になって初めて自分の夢に挑戦する男と
方や18歳?で肩の故障からプロ野球選手の夢を諦めた男
奇しくも同じバタデンの運転士として同期入社となる二人
そんな二人のやりとりもこの映画のもう一つの観どころだ


いずれにせよ人生を見つめ直す時期に
差し掛かっている方々には
グッとくる映画かもしれない・・・



今は下町のごく一部でしか味わえないかもしれないが
正月の東京は人口密度も、ぐっと減り
私が育った昭和30年代の頃の風情を取り戻して
人も車も少なく、空も青く、
のんびりとした空気が漂い
凧上げやコマ回しに夢中になった
記憶の中の東京を思い出せるので
田舎のない私にとっては
唯一の心のふるさとなのだ






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春との旅 映画レビュー

たいせつなのは血のつながり?心のつながり?



泣ける度★★★★★ おススメ度◎◎◎◎◎
春との旅
監督・脚本・原作 小林政広/音楽 佐久間順平


【映画解説】

足が不自由な元漁師の祖父と仕事を失った19歳の孫娘が
疎遠だった親族を訪ね歩く旅に出る姿を通し、人間の心の機微を描いたヒューマンドラマ


【映画レビュー】
最初はこんな映画じゃ泣けないぞ!
と、思いながら
最後は号泣している自分がいた

私が人生の折り返し地点を過ぎたからなのか
ひと月ほど前に父を亡くしたからなのか
とにかくこの映画には感情移入してしまった

本作の主人公“忠男”(仲代達也)と
その孫娘“春”(徳永えり)の家庭環境は複雑だ

足の不自由な、わがまま爺さんが家を飛び出し
その後を追って健気に面倒を見る孫娘との二人の旅から
この映画はいきなり始まるのだが
最初はこんな展開でおもしろくなるのか?
と、なかば諦めつつ観始めたが
この旅が孫娘が都会に出て一人で暮らすために
この足の悪いお爺さんの兄弟を訪ねて
面倒を見てもらう交渉のための旅だと
次第に分かってくる

尋ねるお爺さんの兄弟とのやり取りの過程で
このお爺さんの頑固でわがままな性格から
何年も兄弟と疎遠だったこと
孫娘“春”の母が自殺したこと
漁師の博打と言われている
ニシン漁にこだわり続け財産を使い果たしてしまったこと
などが段々と分かってくる

結局、頼って訪ねて行った兄弟たちの
誰ひとりとして
忠男を受け入れようとはしないのだが
思わぬ人からの温かい一言を
丁重に断りながらも涙ぐむ“忠男”の表情に
自分の思いとは裏腹に
あえて人生の厳しさを受け入れた決心が表れていた


この映画は
今、日本が抱えている老人問題を
別の角度から鋭く描いている映画とも言える

日本全国で老人の孤独死がときどきニュースになるが
この映画の中のセリフにもあるように
公共の老人ホームは何百人という予約待ちでとても入れず
私営の高額なホームにすんなり入れるほど
すべての老人が財産を持っているとは、とても思えない

これから更に高齢化になっていく日本で
事業仕訳によって省いた無駄な予算を
そういった高齢者施設に投入してほしいものである


日本人の心の機微に触れ
本気で泣きたい人にオススメの日本映画だ!






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パーマネント野ばら 映画レビュー

本当にたいせつな人は魂が忘れない…


泣ける度★★★☆☆ おススメ度◎◎◎◎
パーマネント野ばら
監督 吉田大八/脚本 奥寺佐渡子/原作 西原理恵子/音楽 福原まり



【映画解説】
人気漫画家・西原理恵子の話題を呼んだ同名漫画を
『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の吉田大八監督が映画化した恋物語


【映画レビュー】
田舎の小さな港町で
たんたんと綴られる世界
出戻りのパーマネント屋の娘が
わが娘や世間体を気にしつつ
自分の高校の先生と密かな恋物語?
かと思いきや…

いやー、ラスト数分前で
一気に心を持っていかれる見事な演出!
久しぶりに日本映画らしい映画を
観た気がしました。


まず、主人公の“なおこ”(菅野美穂)の
周りのキャラクターがとってもイイ!

幼なじみの親友のふたり
スナックのママの“みっちゃん”(小池栄子)と
男運の悪い“ともちゃん”(池脇千鶴)
幼い時からお互いにいつも気にかけている温かさが
小さな田舎町特有の丁度よい距離感で
じんわりと伝わってくる

野ばらの常連のパンチパーマの下ネタおばちゃんたちも
厳しくてやさしい“なおこ”の母の“まさ子”(夏木マリ)も
その別れそうな夫の“カズオ”(宇崎竜童)も
事あるごとに-チェーンソウで電柱を切っちゃう
みっちゃんのお父さん(本田博太郎)も
田舎の小さな港町の風景に馴染んでいて
とっても愛着が湧いてくる人たちばかり

そんな周りのキャラクターで
“なおこ”がこの町でどんな風に育ってきて
どんな性格の人間になったかが
ひしひしと伝わってくる

映像のトーンものんびりした田舎町を引き立ててるし
吉田監督らしいギャグも
この映画にはなかなかマッチしていて
いい味になっていると思う



人は人生の中で
いろんな人と出会い
いろんな別れを経験する
中には意識して忘れなければならない人もいるだろう?
でも、本当にたいせつな人は
たとえ頭で忘れようとしても
自分が意識しない魂の深いところで
忘れられないものなのだろう
いつまでも、いつまでも…






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武士道シックスティーン 映画レビュー

剣の道を通じて清々しい涙を流そう!


泣ける度★★★☆☆ オススメ度◎◎◎◎
武士道シックスティーン
監督・脚本 古厩智之/脚本 大野敏哉/原作 誉田哲也/音楽 上田禎



【映画解説】
同じ剣道をやりながらも、まったく勝負に対する考え方の違う二人の女子高生が
剣道を通じて、戦うこと、勝つこと、真の強さの意味を学んでいく青春剣道ムービー


【映画レビュー】
主演の二人の男性ファン狙いのただの青春映画か?
と、思いきやとんでもない!
観ているうちに目頭が熱くなり
ラスト近くで思わず感涙!
なかなかいい映画を観させてもらいました。

特にキャスティングが良い!
主演の二人、“香織”と“早苗”が生き生きしてるし
観ていて気持ちがいい

いまどきこんな素直な女子高生いる?
と、ちょっと思ったりしますが
題材が剣道なだけに、いてもおかしくないかも?
と、納得したりして…
出てくる男子高校生もとてもさわやかで
やっぱりうちの息子にも武道をさせるべきかなぁ?
と、考えさせられました。



16歳と言えば青春まっただ中
勉強以外に楽しいことがいっぱいあって、謳歌したい時期
でも、香織(成海璃子)は道場主の父に
幼いころから剣道だけをやらされて、剣の道一筋
剣道で勝つこと以外、眼中に無い
一方、早苗(北乃きい)は剣道もするが勝ち負けにこだわらず
他の女子高校生と同じようにオシャレをしたりして
高校生活を楽しんでいる


主人公の二人の描き方も対照的で
初めこそ香織が強く、早苗が弱そうに見えるが
途中で自分の剣道人生に疑問を持ち始め、葛藤する香織は
純粋に何かに打ち込んできた人が、躓いたときに崩れてしまう
ガラスのような弱さも合わせ持つ
早苗が勝負になると逃げるようにしてきたのは
父の人生を見てきて自然と身に付いた、ある種の防衛本能で
普段はその強さを見せずに
ひ弱なキャラで周りを安心させつつ
いざという時、芯の強さを発揮する
本当に強いのは早苗のような人なのでは?
(社会でも意外とこの手の人が出世する…?)


その辺りの人間の本当の強さや心の機微を
剣道と言う勝ち負けのはっきりしている題材を通して
観客に語りかけてくるこの映画は
主演の二人の実年齢と近い違和感のない好演と相俟って
純粋に楽しめる青春映画に仕上がっている



古厩監督の演出にかなり厳しい批判もあるようだが
特に泣けるようなストーリーがあるわけでもないのに
じわりと感動の涙がいつの間にか頬を伝わっていて
観たあとに清々しい気持ちにさせてくれる
インディーズ青春映画の雄の本領を発揮したと思える
おすすめ映画です!

追伸
映画を観た後で誉田哲也氏の原作を読んで
ここを映画でサラッと流しちゃだめでしょ!
思ったシーンがあったので追記しますが

香織がふと己の剣道に疑問を感じ、部活を休んで
抜け殻のようになってしまうシーン
映画ではあまり深い心理描写は描かれていないが
原作(文庫の267P~272P)では幼い時から父に剣道一筋で鍛えられ
子供らしい遊びも満足にさせてもらえなかった兄と香織が
剣道の稽古へ行くときに通る近くの児童公園には
いつも同級生たちが遊んでいて
「香織ちゃん、また剣道?いつ遊べるの?」と訊かれるが
物心ついたときから、剣道しか知らない香織は答えられない。
いつも隣にいた兄が「また今度ね」と代わりに言ってくれたが
その公園で同級生たちとの遊びが実現した事は一度もなかった。
道場での稽古帰り、真っ暗になった公園には子供たちの姿はなく
稽古で、打たれても蹴られても、転ばされても泣かなかった香織が
なぜだか急に悲しくなり涙をこぼす
そんな香織に小さくしゃがみこんで、兄は優しくこう言う
「・・・香織。剣道。やめたいの?」
「もしそうなら、僕が、父さんにいってあげるよ」
答えない香織に
「香織、つらかったら、僕には、そういっていいんだよ」
と言ってくれる兄に、つらいのではなく
暗く、誰もいなくなった公園が、ただ寂しいと感じ、涙がこぼれただけ
でも、その一言すら飲み込んだ香織は、兄にこう言う
「あたしは・・・兄ちゃんが、いてくれれば・・・いい・・・」
その香織の一言に、兄はどう言葉を継ぐべきか、迷ったような顔をする。

このたった1~2ページのくだりを読んだだけで
目頭が熱くなった
言わば、この作品のハイライトとも言うべきシーンを
何でもっと時間をかけて描かないのか?

映画だけを観た時は、それなりに良くできていて、オススメしたが
原作を読んで、いちばん大事なこのシーンが
サラッと描かれていることを知り
ちょっと演出と脚本に疑問を感じた

もしDVDで観る予定がある方は
ぜひ原作本も読んで、映画の描き方との違いの感想を
聞かせて欲しいものである。




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てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~ 映画レビュー

ねらい過ぎ?SPネタ盛り込み過ぎ?


泣ける度★★☆☆☆ オススメ度◎◎
ていだかんかん
監督 李闘士男/脚本 鈴木聡、林民夫/原作 金城浩二/音楽 coba


【映画解説】
世界で初めてサンゴの移植・産卵を成功させ
2007年環境大臣賞・内閣総理大臣賞をダブル受賞した
金城浩二氏の実話を映画化した感動作


【映画レビュー】
この映画のプロモーションだったのだろう
TVで実物の金城さんのインタビューを見た。
根っからの沖縄人らしく
喋り方がとてもゆっくりで
芯は強いがとてもやさしい人なのだろう?
という印象だった

それを意識したせいなのかその金城さん役の岡村隆史が
普段は早口なのに妙にゆっくりとした口調で話す演技に
とても違和感と不自然さを感じた

他の俳優陣がとてもすばらしかっただけに
よけいに岡村隆史の演技が浮いていた

内容自体は沖縄の美しい海を取り戻そうと
世界で初めて養殖サンゴの移植・産卵を成功させた男の
実話の映画化という、すばらしい話だけに
もっともっと感動する映画にできたはず

だいたい何で金城さん役が岡村隆史でなければならなかったのか?
ど突きのシーンで笑を取るためなのか?
それも完璧にギャグになっていないので
とても違和感を感じた

彼としては精いっぱい頑張っていたし
まあ悪くはなかったのだが
やはり役者としては、まだまだ未熟で
素の自分を抑えて役を演じるのは
もっともっと役者の勉強をしなければ無理だと思う


松雪泰子はこの1~2年で出演した映画の中で
全く違うキャラクターを見事に演じ分けている技量の持ち主
原田美恵子の母役も彼女の新境地が見られてお見事というしかない名演!
國村 隼の漁協組合長は本物か?と思うほどの大迫力!
なのに岡村だけがウソ臭い


映画をヒットさせるためには
何か話題となるネタが必要なのはわかるが
そのために一番大切な主役に
本物の役者を使わずお笑いタレントを持ってくるのはいかがなものか?
若者の観客動員をねらってお笑いブームに乗じたのか?
お金持ちのよしもとから製作費をひっぱりたかったから
仕方なく起用したのか?
いずれにしろもっともっと良くなりそうな映画だっただけに
残念で仕方がない

でも、じゃあ金城さん役は誰?と言われると
すぐには思いつかないのですが…
特にここに持ってくる役者次第で
もっともっと地味~な映画になってしまうような映画なので…
いやーキャスティングは難しいですな~



監督の趣味なのか受け狙いなのか
ラストの山下達郎のエンディングテーマも
ちょっと、ねらい過ぎ?のような気がしました。

それと“長澤まさみ”は何だったんですかねぇ?
これも観客動員のためのSPネタですか…?


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最新邦画レビュー

のだめカンタービレ 最終楽章 後編 映画レビュー

前編♪音楽感<後編♥恋愛感


泣ける度★★★☆☆ オススメ度◎◎◎◎◎
のだめカンタービレ最終楽章
監督 川村泰祐/脚本 衛藤凛/原作 二ノ宮知子


【概要】
累計発行部数3300万部を突破し、日本中にクラシックブームを巻き起こした
大人気コミックス「のだめカンタービレ」のTVドラマシリーズの完結編として
映画化された2部作の後篇


【レビュー】
私が「のだめカンタービレ」を初めて知ったのは
今から5年ほど前
知り合いのCMディレクターが“クックック”と
笑いながら読んでいたコミックが「のだめ…」でした。

借りて読んでみるとゴミの部屋で暮らすピアノ科の音大生
“のだめ”こと野田恵が主人公のクラシックを題材にした物語で
掃除や料理はまるでダメだがピアノは天才的な要素を持つという
他に類を見ない設定が、確かにおもしろい!と思いました。
それがTVドラマになると聞き、さっそく見ましたが
〈第一印象はコミックと役者のイメージが違うな〉と感じ
期待していたもの以上ではなかった
でも、回を追っていくうちにTVドラマも
独自の世界観を作り上げて
これはこれでありかな?と思うようになりました。

そして、去年の暮れに公開された
『のだめカンタービレ 最終楽章 前編』
期待以上のできに後編を楽しみにして観てきたのですが…



前編のレビューでも書いた(Yahoo映画にて)
クラシック音楽のオーケストラの大迫力は
後編では少し後退したように感じました。

清良のブラームス「ヴァイオリン協奏曲」
Ruiのラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」
のだめのショパン「ピアノ協奏曲第1番」
そして、千秋とのだめが奏でる
モーツァルト「2台のピアノのためのソナタ」
とそれぞれの曲は、それはそれで素晴らしかったのですが
前編のマルレオーケストラを甦らせた
千秋のチャイコフスキーの「序曲1812年」
のときに感じたような心揺さぶられる迫力のようなものが
今回の演奏にはあまり感じられませんでした。

その代りに映画はふたりの恋の行方に
グッとスポットを当てて描いています。



本来、大ピアニストになることなど
微塵も考えていなかった音大生“のだめ”が
あこがれの千秋先輩に近づきたくて
パリまで追っかけて行き
千秋先輩と同じステージに立ちたい一心で
自分の苦手だった楽譜を見てキチンと演奏する
テクニックを身につけるべく
頑張って授業と格闘する日々

友達の清良のように有名コンクールへ出て上位入賞すれば
千秋と共演という夢もきっと叶うはず
でも厳しいオクレール先生は
コンクールに出ることすら許してくれない
ただの音大生では
千秋との音楽での距離はどんどん開いていく
そんな焦りの中、ふと舞い込んだ
シュトレーゼマンと共演という華々しいデビュー
その演奏にエネルギーを注ぎ込んだ“のだめ”は燃え尽きてしまう
再起不能と思われた“のだめ”を救ったものは…



音楽は文字通り「音」を楽しむもの
クラシックの演奏家は
難しい曲を弾きこなさなければならないので
テクニックに磨きをかけることも重要で
かなりの練習量が必要なのも仕方ないが
やはりその演奏自体が楽しくなければ
聞いている人にその音楽のよさは伝わらない

画家は毎日、キャンバスに向かうし
書道家は毎日、筆を取る
でも、その過程は苦しくても
やはり好きだから続くので
今日よりも、さらにいいものを
永遠に求め続けていく
その活動に終わりはないのです。

のだめと千秋も結局、音楽が好きだから
音楽によって出会って、
お互いの音楽の才能に惹かれ
音楽を追い求めて
音楽で悩み
でも最後はその音楽で結ばれる?

のだめの心を取り戻す千秋の行動には
ジーンときて思わず涙を誘われます。

コミックから始まった『のだめカンタービレ』
音楽好きには永遠に心に残る名作に
この映画が昇華してくれたのではないでしょうか?


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映画 『ソラニン』 レビュー

忘れていたあの頃の気持ちを思い出させてくれる・・・



泣ける度★★☆☆☆ オススメ度◎◎◎◎
ソラニン
監督 三木孝浩/脚本 高橋泉/原作 浅野いにお/音楽 ent



【概要】
60万部を売った浅野いにおの原作コミックを
音楽系PV監督の三木孝浩が映像化した青春恋愛ストーリー


【レビュー】
学生時代に音楽系サークルでバンドをやっていた私には
この映画はグッときた・・・

それまで何とか音楽の仕事に携わりたいと思っていた私は
卒業してある仕事でCMの音楽録音の現場に行く機会があり
初めてスタジオミュージシャンの演奏を聴いて
そのあまりのレベルの違いに愕然となり
その日限り、スッパリと音楽を諦めた

それ以来それまで毎日弾いていたギターを封印し
今の自分の仕事に打ち込んだ
幸い美術系の大学を出てそちらの方を仕事に活かせたので
進んだ仕事も自分の好きなことの一つだったため
音楽を仕事にできなくてもさほど苦にならず
40代になるまで殆どギターには触らなかった

でも、ある日電車の中でS社の車内吊り広告に
「いつの間にか大人になって、いつの間にか音楽のそばにいない」
というコピーを見て≪これは自分のことだ!≫とショックを受け
再びギターを手に取った

それ以来、学生時代に買えなかったブランドのギターを買って
弾けなかった曲や、やりたかった曲などを毎日練習し、
再び昔の仲間とバンドを組んで、今もバンド活動を続けている。

私の場合、進んだ仕事も多少、音楽に関わる仕事だったため
いろんなプロのミュージシャンたちの歌や演奏を
何度もスタジオで生で聴く機会があった

そのつど感じたことは、音楽業界はとても層が厚く
本当に音楽で食えている人はその中のほんの一握りで
それでも音楽と離れたくない、ほとんどの人は
その周りの音楽に関わる仕事で食べている
(この映画の冴木隆太郎のように)

生活の為にやりたくない仕事を続けていると
体の中にソラニン(毒)が溜まっていくと
この映画は表現している
私は音楽ではないけど、やりたいことをずっと続けてきたので
その辺りのストレスはあまり感じたことはないが
高給の為に毎日人の金を数えている人
朝早くから夜遅くまでPCの前に釘付けになっている人など
確かにソラニンが溜まっていきそうな気もする

でも青春時代の一時期、真剣に音楽に打ち込んだ人は
中途半端な練習量じゃ上手くなれないこと
オリジナル曲を生み出す苦しみ
バンドメンバーとのコミュニケーションの難しさ、など
音楽の難しさを痛いほど解っているだろうから
本作の“種田”の葛藤や“加藤”“ビリー”の気持ち
並大抵の練習量じゃ実現しなかったであろう
ラストのライブの予想以上の迫力や完成度など
涙しながら心の中で拍手を送ったのではないか?

この映画の評価は賛否両論、
中にはけっこう厳しい評価もあるようだけど
この映画を観ていたら
好きなことに打ち込んだあの頃の情熱が
ふつふつと甦って来て
忘れかけていたあの頃のピュアな感覚や想いを
改めて感じて思い出させてくれた
私にとっては“ど真ん中のストライク”な
“青春情熱想起ムービー”だった

でも私が今もバンドでやっている曲は
20歳の頃に聞いていた
“EAGLES”や“DOOBIE BROTHERTH”で
ほとんど進歩がないのだけれど
多くの人の音楽は20歳くらいで止まったままなんじゃない?



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映画 『パレード』 レビュー

友だちというツナガリの希薄さ・・・


泣ける度☆ オススメ度◎◎
パレード
監督・脚本 行定勲/原作 吉田修一/音楽 朝本浩文


【概要】
都内のマンションで共同生活を送る若者たちの生活を通して、
現代の若者の人間関係の距離間やそれぞれが抱える心の闇を
鋭くえぐる衝撃作

【レビュー】
今の世の中の若者たちに
友だちと呼べる人は果たしているのだろうか?


都会の2LDKのマンションで共同生活をしている4人の男女
別に恋人でもなければ仕事仲間でもない
映画会社、イラストレーター志望のブティック店員
俳優の彼氏を持つフリーターにアルバイトに精を出す大学生
それぞれが違う生活行動パターンなので
4人がその部屋で一緒になることは少ない
お互いに干渉もしないが姿を見ないと一応心配はする

そんな共同生活が成り立つのか?
成り立つわけがない、
まあ、映画だからなぁ・・・

いや、まてよ都会ならあり得るかも?
今の若者たちが六畳一間のアパートで我慢できるわけがない
でも理想の広さの部屋は都心から遠く
自分たちが暮らしたい街は家賃が高い
だったら都心のマンションに気の合う仲間と
共同生活も悪くないかも・・・?

と思ったのだが
彼らは気の合う仲間ではないのだ!

私からすると
ただの知り合いに毛が生えた程度の付き合い
何かのきっかけでただ一緒に住んでいるというだけの関係
だからお互いのことをよくは知らないし知ろうとも思わない
自分に害を及ぼさなければそれでいいのだ!
その方がお互いに楽だし
だからこそ共同生活もうまくいっている

お互いの会話もあまり深い話はしない
その場限りの上辺だけ会話
逆に普通なら話せないような深刻な問題も
その流れでさらりと話し
聞いてる方もさらりと受け流す
自分にとっては泣きたくなるほど悲しい出来事も
ルームメイトの前ではそんな素振りも見せない

それが彼らの暗黙のルール
けっして深入りはしない

この距離間の取り方は何なのだろう・・・?

そうか防御だ!
仲間外れにされないための
いじめられないための
一人きりにならないための
防御策なのか!

パレード2


私が小さかったころは
ドラえもんのジャイアンのように
体が大きく力が強い子がガキ大将で
みんなはそれに従いバランスが保たれていた
強い者と弱い者はハッキリと別れていて
強い者はより強い者と力試しをした
そしておもいきり殴り合った末に
お互いを認めれば誰よりも仲良くなり
何でも話せる親友になった

だが受験戦争が次第に熾烈を極め
そのストレスが子供たちに
いじめという歪んだ形で現れ始めてから
子供たちは自分を守るために
だれもが心にフタをして本心は明かさず
上辺だけの付き合いになった

みんながいい子を演じ表だって暴力などしない
でも顔には出さないが、みんながライバル
だから適度に距離間を保ち
適度に付き合っていく

仲間外れにならないように
いじめられないように
一人きりにならないように

自分を守るために・・・


ニューヨークなどの大都会では
昔から高い家賃への対抗策として
ごく自然な形でルームメイトという
システムが生まれた

その形も様々で
男×女、男×男、女×女、ゲイ×ゲイ・・・?
そしてやはり長く続くためのルールは
お互いに干渉しないこと?


都会というコンクリートジャングルで生きるために
必要なものと必要でないものとを
うまく使い分けていく生活

人の温もりもその一つだとすれば
ある程度距離を置かないと成立しないその人間関係も
都会で生きていくためのただの道具なのか?

映画とは思えない
現代の若者たちのリアルな人間関係に
空恐ろしさを感じた・・・



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映画 『人間失格』 レビュー

捨てるしかない人生か?掴むしかない人生か?


泣ける度☆ オススメ度◎◎
人間失格
監督 荒戸源次郎/原作 太宰治/脚本 浦沢義雄 、鈴木棟也
製作総指揮 角川歴彦/音楽 中島ノブユキ


【レビュー】
恥ずかしながら、私はこの名作をまだ読んでいない(汗)
でもこの映画を観て読んでみたくなり
映画館の帰りにさっそく古本屋?へ駆け込んだ・・・


昭和を代表する作家、太宰治の「人間失格」
映画化は難しいと言われていたせいか
映像も役者もかなり気合が入っていたように思う

スクリーンから受ける印象は
小津安二郎やマキノ雅弘時代の映画の雰囲気を
意識して作っているような感覚
時間の流れ方もゆっくりでセットや美術もかなり凝っていて
昭和の始めのあの時代を見事に再現している
同じ太宰作品の『ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~』も
美術などはかなり凝っていたが
ロケセットも含め
この作品はそれ以上に凝った作りに感じた。


文学的な表現を意識したせいだろうか?
映像もかなり美しく撮られていて
それを観るだけでも一見の価値はある!
冒頭の大貫妙子の"アベマリア"もちょっとレトロチックで
なかなか良い味を出していた
と、後で気づいたが何で"アベマリア"だったのだろう?
という疑問の答えがラストシーンの数カット前に明かされる
この曲は荒戸監督の仕組んだレクイエムだったのだと
そのシーンを観て初めて理解する
みなさんもそのシーンをお楽しみに・・・


『ヴィヨンの妻 ・・・』の主人公もそうだったように
太宰作品には自殺のシーンが付きもので
大量の薬を飲むシーンを観るにつけ
つくづく太宰作品に出る役者さんは大変だなぁ・・・と思う


太宰治はの実家は青森県北津軽郡でも有名な大地主で
彼は生まれながらにして
両手に抱えきれないほど多くの富を手にしていた

そういう意味で彼の人生はその手に抱えきれないものを
捨てるしかない人生だったのだろう?

その放蕩ぶりも自堕落な生活の果てに堕ちてゆく生き様も
何も持たないで生れてきた人間からは考えられないものだったであろう


あの時代、貧しさの中から何かを掴もうと必死に努力し
頑張った人間が日本経済を支え、後の日本を造ってきた

ほとんどの貧しい日本人は生きるのに必死で
死を考えるような余裕などとてもなかった

だから太宰の分身である"葉蔵"のように自分の出自に悩み苦しんで
「生まれてきてすみません」などと言えること自体が贅沢なことで
まして自殺など到底理解できなかったに違いない
でも葉蔵はとにかく捨てたかった
他人から見れば羨ましい富や境遇も
葉蔵には重荷だったのだろう
そして最後は命までも捨てるしかなかったのか・・・

そんな彼が女にもてたのも
その儚げな雰囲気に加え
太平洋戦争へと突入していく時代に
葉蔵のような弱そうな男は少なかったから
女たちから見れば男尊女卑の封建社会とは正反対に見える
今でいう草食系男子に新種の魅力を感じて
魅かれていったのでは・・・?



聞くところによると原作の大庭葉蔵は映画とは違った
自意識過剰の自堕落青年に描かれているようなので
原作を読むとまた違った太宰像が見えてくるかも知れない
さっそく読んでみたいと思う


スポーツの世界でもそうだが
トップに立つような人は
幼い時から何不自由なく育ったという人はあまり聞かない

やはり人間は努力して自分の手でひとつひとつ
欲しいものを掴み取らなければ
自分の理想とする人生にはならないのだ!

と、自分に言い聞かせ
人間失格にならにための努力を
今日も続けるのである・・・



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映画 『食堂かたつむり』 レビュー

美味しい記憶は消えない・・・?

泣ける度★★☆☆☆ オススメ度◎◎◎◎○
食堂かたつむり1
監督 富永まい/原作 小川糸/脚本 高井浩子/音楽 福原まり


【ストーリー概要】
信用していた恋人に、自分の夢だったレストラン開店資金も、家財道具もすべてを持ち逃げされ
ショックのあまり一時的に心因性失声症を患ってしまう倫子。
そんな彼女が失意の内に実家に戻り、自活のため食堂を開いて得意の料理で人々を癒やしていく。

【レビュー】
美味しいと評判のレストランのシェフは、幼いころから美味しいものを食べてきた
という人がほとんどだと聞く
その記憶を頼りに日々工夫して新たな美味しい料理を生み出してゆくのだそうだ
そのくらい人間の舌の記憶というのはいつまでも消えずに
味覚として脳に刻まれていくものらしい

この『食堂かたつむり』は、主人公の作る料理を食べた人の
そんな美味しい記憶がしあわせの記憶を思い出させ
人々を元気にさせてゆく
それぞれの味覚に隠された記憶の物語だ


美味しいものを食べて不愉快になる人はまずいない
美味しいものは人をしあわせな気分にしてくれる
逆に腹が減っていると人はイライラする
昔から大切な話をするときは、たいてい美味しいものを食べて
気分を良くしてから話すように習慣化されている

だからを片思いの彼と"ジュテームスープ"を飲んだら
彼女の思いが通じてしまうのは奇跡ではなく
ごくごく自然なことなのだ!
それくらい美味しいものには力がある


美味しい記憶は
ときには人を元気にさせ
ときには人を幸福にさせ
ときには人を恋しくさせる

でも心の奥に仕舞っておいた
誰にも言えない記憶も
ときには食べた瞬間、舌が甦らせてしまう
そう、それまで意識して避けていた祖母のヌカ漬けを
口に入れた途端思いだしてしまったルリコのように・・・

食堂かたつむり2


CM出身の監督らしく
料理のシズルは本当に美味しそうに撮っている
アニメを駆使したしあわせの表現や
コマ撮りの過去を振り返るシーンなども
女性監督ならではの感性を感じる

あと喋らない柴崎コウがなかなかイイ!
失語症の役だから当然なのだが
彼女が喋らない分"ルリコ"役の余貴美子のシャベリが
彼女のセリフまでカバーしているようでルリコの演技が光っている!

食堂かたつむり3


大嫌いだった人が本当はいちばん自分を思ってくれていた
近くにいるときは案外気づかないもの・・・


観ていて何となくあったかくなってくる映画
観ながらウンウンと頷いていて
気づいたら頬を涙が伝っていた・・・


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映画 『すべては海になる』 レビュー

本好きな人はこの映画をどう観る?

泣ける度☆ オススメ度◎◎
すべては海になる

監督・脚本 山田あかね/音楽 田尻光隆


【概要】

荒れた家庭で暮らしながらも読書を支えに生きる高校生"光治"と、
かつて本に救われた過去を持つ女性書店員"夏樹"の
本でつながっていく男女の関係や心の機微を描く

【レビュー】

『すべては海になる』という題名に魅かれ
泣けるかも?と期待して観てきましたが
泣けませんでした…


映画好きの人は本好きの人が多いと思うけど
本好きということは理屈好き?なはず
でも文学というか本をテーマにした映画なのに
なんか伝わってくるものが浅いような気がしました

映画の面白さという点でも
夏樹(佐藤江梨子)が何で本屋の店員になったのか
というエピソードのシーンや
劇中のベストセラーになった本を夏樹が書評のために
読みながら想像するシーンは
もっともっと演出で面白くできたんじゃない?
(例えば"恋の門"くらいやってもよかったんじゃない?)

まあ、この映画のスタンスがコメディではないので
あの程度だったのかも知れないけど
(その割には中途半端にコミカル表現してたので…)

でも書店員の書くポップによって
本の売り上げも大きく変わるらしく
本屋さんで日々ポップを書いている人も
それなりの文章力やコピー力がないと
売れる本も売れないんだなぁ、と以前から思っていたので
夏樹の担当する「愛のわからないひとへ」というコーナーで
ポップに少女マンガ風イラストが書いてあるところなど
なかなかリアリティがあって
監督の細かい気配りを感じました

山田監督はワイドショーのインタビューでサトエリが
“わたし、無駄にモテんです”と言っていたのを聞いて
「このコだ!」と思い起用した。と言ってましたが
サトエリのスタイルを見て近づいてくる男は99%エッチ目当てでしょ!(笑)
(悪いけどけっして性格が良さそうには見えないので…)

そういう意味でも
"モテてもそれを信じられず、どこかさびしそうに見える"
主人公・夏樹ははまり役だったかも知れません…?


総論としては終始たんたんと流れるように
展開する印象のこの作品は
柳楽優弥の持つどこか冷めた雰囲気と
佐藤江梨子のやはりどこか開き直っているイメージの二人が
主演を演じているからなのでしょうね…

だから本来もっと感情に訴えかけてくるような内容を
題材にしてるのに伝わってくるものもどこか冷めてて
私は感情移入できずに泣けなかったのかも知れませんネ?



 
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