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コクリコ坂から 映画レビュー

宮崎吾朗が描くジブリの新たな世界


泣ける度★★★☆☆ オススメ度◎◎◎◎◎
コクリコ坂から
監督 宮崎吾朗
脚本 宮崎駿 、丹羽圭子
原作 高橋千鶴 、佐山哲郎
音楽 武部聡志


【映画解説】公式サイトはこちら☞
宮崎吾朗が約5年ぶりに演出を手掛けた、16歳の少女と17歳の少年の愛と友情を軸に
真っすぐに生きる高校生たちの青春をさわやかに描いているスタジオジブリ作品。


【映画レビュー】
よかった!
心にジーンときて、優しい涙がホホを伝った・・・


前作のジブリアニメ『借りぐらしのアリエッティ』では
米林宏昌監督が何を伝えたかったのかイマイチ解らなかったが
今回の『コクリコ坂から』を観て
スタジオジブリが何処へ向かおうとしているのかが
ぼんやりとではあるが、解った気がする。


宮崎駿監督が描いてきたジブリの世界は
現実とは少し離れたお伽噺的な
なんとも不思議な世界だったが
息子の宮崎五朗監督が、なのか
今のジブリが目指している世界は少し変わってきた気がする。

現実の中のともすれば見過ごしてしまいそうな
とても繊細な人と人の(アリエッティは小人でしたが)
心のふれあいや機微にスポットを当て
実写でも作れそうな世界をあえてアニメで表現している。


映画製作はロケをすればロケ地の確保や天候に
スタジオならば美術セットに小道具に、と
とにかくお金がかかる。
ハリウッド映画のように全世界での上映を踏まえて
投資家たちが投資をするようなシステムならば
巨額の資金も集められるし
その分、制作費にもお金をかけられるが
日本映画のように
限られた国での上映システムではそうもいかない。

特に本作に出てくるような
美しい横浜の朝焼けやこだわりの風景
カルチェラタンのような年代を感じさせる建物
昭和30年代の様々な乗り物や町並みや衣装など
監督のこだわりで描きたい世界を作っていったら
それだけで制作費は膨大に膨らんでしまう。

『ALLWAYS三丁目の夕日』のように
CGを駆使してロケ地代や美術セット代を
切り詰めていくのも一つの方法だが
ジブリはそれをアニメという手法で
独自の世界観を作り上げている。
(もちろんアニメもお金はかかると思いますが・・・)


私は昭和30年代前半の東京生まれだが
当時の記憶に残るオート三輪や木造長屋の町並み
その頃の横浜は知らないが
戦後の建物の面影が色こく残る銀座や新橋あたりの風景など
休みの日に、父と母に連れられて
よそ行きを着て、銀座へお出かけした記憶がよみがえり
懐かしさに思わず目頭が熱くなった。

ストーリーも前作よりは、よくできている。
戦中・戦後の動乱期に、亡くなった親友や親戚の子供を引き取り
当然のように自分の子供として育てていた人たち。
(私の母の弟も戦争で亡くなった親戚の子供だった)

船乗りだった父に会いたいという思いからか
今も毎日“海”が掲げ続ける信号旗。
それが運命の糸となり、引かれ合うことになる“海”と“俊”
しかし思わぬ展開で、二人の間に立ち塞がるもう一つの運命

思春期の初恋を
ジブリならではのさわやかさで描ききった本作は
我々中年世代の心にも今の若者たちの心にも
甘酸っぱい感動を与え、やさしい気持ちにさせてくれる。

世の中が戦後の復興とともに高度経済成長へと
まっしぐらに突き進んでいたあの頃
若者たちは有り余るエネルギーを
自分たちが理想とする世の中を作ろう
真剣に注いでいった・・・

そんな時代の空気や人々の情熱を感じさせる
ジブリの手書きアニメの繊細な描写が
実写とはまた違う新しい世界に見る物を誘ってくれる。


主題歌「さよならの夏~コクリコ坂から~」が
“海”と“俊”のこれからを期待させる
二人の笑顔のシーンからゆっくりと流れ出し
手嶌葵のハスキーな歌声が
ジブリのやさしいタッチの横浜の風景と相まって
心に深く沁みいってくる。

私は、同じ横浜ということもあってか
ユーミンの“海を見ていた午後”を思い出しました。


ともあれ“アリエッティ”より数段よくできている本作
ジブリの模索する新しいジブリアニメの世界に
深く共感するとともに、次はどんな世界を観せてくれるのか?
今後も大いに期待したい!




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最新アニメレビュー

トイストーリー3 映画レビュー

大好きだったおもちゃを捨てた記憶はありますか?



泣ける度★★★★★ オススメ度◎◎◎◎◎
トイストーリー3
監督・脚本 リー・アンクリッチ/製作総指揮・脚本 ジョン・ラセター
脚本マイケル・アーント、アンドリュー・スタントン
音楽 ランディ・ニューマン



【映画解説】
世界中で大ヒットした『トイ・ストーリー』シリーズの第3弾
大学生になったアンディと、ウッディを初めとするおもちゃたちとの別れを描く
感動的なシリーズ完結篇



【映画レビュー】
観たい観たいと思っていた『トイストーリー3』を
やっと観ることができた
残念ながら2D吹替え版だったが
それでも充分に伝わって来て、感動し、そして泣けた・・・


最初の『トイストーリー』公開が1995年というから
すでに15年も経っているのか?と
あらためて時の過ぎる速さを感じたが
15年前というと、現在、大学受験に向けて猛勉強中の長男が
まだ3歳くらいの頃で
映画を観た後に出したハガキの応募で
本物の“バズライトイヤー”が当り
大喜びして一緒にトイストーリーごっこをした記憶が
懐かしさと共に甦ってきた。
その後5歳違いの次男がしばらく遊んでいたように思うが
二人にその所在を聞くと
「母さんがいつの間にか捨てちゃった」と
口をそろえて言っていた(結構ショックでした)

私の場合もそうだったのだが
あれだけ大切にしていたお気に入りのおもちゃを
いつ手放したのかの記憶がまったくない
片時も離さず遊んでいたのに
いつの間にか、おもちゃ箱の隅にホッタラカシになっているのを
母親か父親が用済みと思い、捨ててしまったのだろう・・・

本作のアンディのおもちゃ達のように
ずっと、たいせつに保管されていて
惜しまれながらも、ついに別れの時を迎えるなんて珍しく
自分のおもちゃを、捨てられたことすら覚えてない人が殆どだろう
それほど子供の興味は次から次へと変わってゆく
大学の寮に越すために、こんな劇的な別れがあって
こんな感動的なストーリーとして映画になるなんて
アンディのおもちゃ達は本当に幸せです!


子供がモノを大切にすることを覚える
いちばん最初の対象が“おもちゃ”なのだと思う
ぬいぐるみのような単純な構造のものは壊れにくいが
バズライトイヤーくらいのおもちゃになると
羽が飛び出さなくなったり、光線がでなくなったり
ボタンを押しても声が聞けなくなったりと
たいせつに扱わないとその寿命は一目瞭然で
現に私の家にあったバズは
羽は出っぱなし、光線は出たり出なかったり
声は何とか聴けたが、そこらじゅうマジックの落書きだらけで
それを見てショックを受けた私は
苦労してジッポーのオイルで、落書きを消したのを覚えている。


大好きだったおもちゃ達に別れを告げるとき
それは子供から大人へと成長していく過程で
誰もがきっと経験する人生の通過点
『トイストーリー3』を観てあふれ出る涙は
そんな、ひとりひとりの心の奥に眠っていた
おもちゃ達との、楽しかった、懐かしい記憶が甦り
心の琴線に触れるからなんだろう・・・

映画の中のウッディのセリフのように
家がもっと広くて、仕舞っておけるスペースがあったら
自分が夢中で遊んだおもちゃを
子供たちや孫たちが遊べるように、とっておけたのだろうな?と
ちょっぴり残念な気持ちにもさせられたが
某TV局の「◎◎鑑定団」なんかを見ると
ものすごい値段がついてたりして
とても遊ばせられないかもネ・・・(笑)





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最新アニメレビュー

カラフル 映画レビュー

今のジブリより数倍泣けて、数倍刺さる、感動アニメ作品



泣ける度★★★★☆ オススメ度◎◎◎◎
カラフル



【映画解説】
直木賞作家・森絵都のベストセラー小説を原恵一監督がアニメーションでリメイクした感動大作
突然現れた天使により、自殺してしまった少年の体に“ホームステイ”することになった主人公の
心の旅をアニメならではの細かな映像表現で描く



【映画レビュー】
いじめによる自殺者が後を絶たない日本の学校
いや、学校だけではない
職場でも“いじめ”は存在し
うつ病になり仕事を続けられない社員が急増しているという

まわりの人と少し違うこと
それを個性と受け取るか異分子と受け取るか
それはその国の集団社会の目に見えない不文律のようなもの
昔から村社会として発展してきたこの国は
けしてそれを個性とは捉えず異分子として排除してきた
そうでないと村社会が崩れてしまうから?
集団をまとめることができないから?
そんな村社会の悪習慣は
身体的に他の人と違う人にも向けられ、差別や隔離したりしてきた
もしかしてそれは一種の種族保存本能とでも言うべき行動なのか
自分たちと違う何かを持っている人に対する本能的恐怖なのか
現に過去に天才と言われた画家や音楽家には
普通の人には見えないものが見えたり
聞こえない音が聞こえたりしていたという

カラフル』の主人公“小林真”も
小さいころから絵が好きで、ひとり静かに絵を描き続けていた
やがてそれは他の人より秀でた才能となり
彼の絵の上手さは誰もが認めるところとなった
一人の時間を大事にしたために
他の人とのコミュニケーションが取れなくなったのか
彼の絵の才能を嫉んだ結果が
いじめというカタチで現れたのかは解らないが
友達もいなかった彼は中学校という集団の中で
3年間ずっといじめられている
そんな彼の唯一の安息地は美術部の教室
その教室の端でキャンバスに向かい絵を描いているときだけが
誰にも干渉されずに自分でいられる時間

だが、少し憬れていた同級生の“桑原ひろか”と
信じていた母のあるショッキングな場面を目撃してしまい
ずっと耐えてきた彼の中で何かが崩れ
ついに自殺に踏み切ってしまう


映画は前世で罪を犯し、輪廻のサイクルに入ることができず
もう一生、生まれ変わることはできない魂が
その判断をされるぎりぎりの場所で
“プラプラ”という天使?に呼び止められ
もう一度だけ“ホームステイ”というカタチで
やり直す機会を与えられる場面から始まる

その魂がやり直す機会として与えられた肉体が
この“小林真”なのだ
“真”の肉体を与えられた魂は
はじめは以前の“真”の性格や行動に反発を覚え
まったく違う人間として行動するが
しだいに以前の“真”の境遇や性格
何で自殺に至ったのか?などを知るに連れ
モノの見方や考え方が変わってくる
その大きなきっかけとなったのが
中学3年間で初めてできた友達“早乙女”の存在だ

ひょうひょうとした性格でわが道を行くタイプの早乙女は
真がハブられていることなど気にもせずに
偶然出会った駅で声をかけてくれる
成り行きで早乙女に付き合うカタチで玉電の跡地を散策し
お互いの事を語り合いながら
しだいに心を開いていく真と早乙女
友達という存在のたいせつさに初めて気づいた真は
自殺未遂から生き返った自分を気遣ってくれる家族や
以前から気にかけてくれていた佐野唱子に対する接し方が
間違っていたことに気づかされる

人を思いやる気持ちや、やさしさは
自分もそれを心から有難いと感じる経験をしないと
気づかないのかも知れない


中学生という多感期には何でも語り合える友達という存在が
どれほど大切か?
自分も中学生のときの有る事件をきっかけに、すべての友達がいなくなり
この世に自分ひとりだけ取り残されたような思いに苛まれたことがある
そんなとき、別の友達からのたった一本の電話にどれほど救われたか
「何してんの?」という何でもない会話だったが
自分の事を気にかけてくれている友達がたった一人でもいてくれたことを
心の底から有難く思い、ギリギリのところで救われた経験がある

それだけにラスト近くの食卓で
自分の進路を心配してくれる家族に申し訳なく思いながらも
自分の本当の思いを語る真の気持ちは
痛いほど伝わって来て、涙で画面が滲んでしまった


人種の坩堝であるアメリカの社会は
キンダーガーデンの頃から
人と違ったものを持っている子供を
けして無理して皆と同じように直させることはせず
個性として認め、伸ばすようにするという
当然、ハンディキャッパーも個性として認められ
隔離せずに皆と同じ教室で
皆と同じような教育を受け
皆と同じように生活をしているので
ハンディ部分は皆が自然と協力し補っていく
本作の『カラフル』という題名のように
みんなと違う色
その色を認め合うことこそ
この国にも、今、いちばん必要なことなのだ

いいかげん日本の教育現場も
都立や県立の東大・京大コースへ何人合格させられたという
点数至上主義的な集団重視教育を改め
個性を認め、それを伸ばすような教育へ変われれば
集団が異分子を排除するような流れに
歯止めをかけられるのではないのだろうか?

と、いろんなことを考えさせられた
現中学生には、もちろん
元中学生にも、ぜひ観てもらいたい
心に刺さる感動の問題作品だ!




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最新アニメレビュー

借りぐらしのアリエッティ 映画レビュー

“ジブリブランド”をもっと大切にしていくべきでは?


泣ける度☆☆☆☆☆ オススメ度
借りぐらしのアリエッティ
監督 米林宏昌/脚本 宮崎駿、丹羽圭子/原作 メアリー・ノートン/音楽 セシル・コルベル



【映画解説】
メアリー・ノートンのファンタジー小説「床下の小人たち」を基に、
古い家の台所の下に暮らす小人一家の物語を描いたジブリ・アニメ


【映画レビュー】
“スタジオジブリ”
アニメーション制作会社で
これほどのブランド力を持った会社が、かつてあっただろうか?

ハリウッドでアカデミー賞を獲得し
一気に“世界のジブリ”に名を馳せただけに
出す作品、出す作品に
皆の期待が集まるのは当然である。

それだけに、最近のジブリ作品は
裏切られた感に憤懣やるかたないファンの酷評が
飛び交うのだろう。


私は根っからのジブリファンではないが
いつもこれだけ前評判で騒がれれば
取りあえずチェックはしておかなければ
という気にさせるのも
“ジブリ”ブランドの力だろう


日本のアニメ映画が世界的に戦えるのは
日本の映画界に、ハリウッド映画のような
莫大な制作費をつぎ込んでも回収できるという土壌が無く
実写にするとかなりのハンデを背負うので
物語の内容が良ければ
アニメの方が格段に
表現力で勝負できるからではないだろうか?
実際に過去のジブリ作品を借りに実写で制作したとしたら
ちょっとやそっとの費用じゃ
あれだけの壮大な映画は作れない
つまり、ジブリアニメには
世界の人を唸らせるほど
内容が濃い作品が多かったのでは・・・

やはり人を感動させるのは
特撮技術ではなくストーリーなのだということを
ジブリアニメは改めて世界に証明したのだと思う


この『借りぐらしのアリエッティ』にはそんなストーリー性はなく
床下に住む小人とそこに越してきた病気の少年の
ほんの数日間のお話しを90分間にした物語で
そこには寓話的教訓も風刺もない
滅びゆく種族である小人たちと
余命幾許もない少年の
“命”にテーマ性があるのかと思いきや
そうでもない
観終わった直後の素直な感想は
何を伝えたかったのかがまったくわからないよ???
であった


そのせいか最近のジブリ作品は音楽に力を入れている気がする
前回のポニョもそうだったが
このアリエッティも予告で流れるテーマ曲が
とても、せつなさを感じさせ
小人と人間の少年の切ない恋愛体験や
決して結ばれない異なった種族の運命のような
展開を期待していたのだが
その片鱗はあったにせよ
そこまで物語は深く描かれていない


観客動員の要であるトレーラーとテーマ曲
その二つが良くて“スタジオジブリ”というブランドで
TVで煽るだけ煽れば、かなりの客を映画館に来させることはできる?
興行的に成功すればいいのなら
今回もかなりの観客動員数は確保できただろう
でも、これを続けていけば
せっかく育て上げた“世界のジブリ”ブランドは
信用を失い、崩壊していくのは目に見えている


最近はむしろディズニーアニメのほうが
日本人でもホロリとくる場面が随所にあったりして
日本のアニメは負けている気がする
『カールじいさん・・・』などは
アニメの中に登場する手紙を日本語に書き換えてあった
(多分そのシーンはすべての上映国の言語になっているはず)

日本人の我々はもちろん
世界が涙するような作品を創出して
往年の作品のような“スタジオジブリ”のブランドエクイティを
図ってほしいものである。





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