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タイタンの戦い 映画レビュー

デニス・ホッパー逝く
映画界にとって、また惜しい人を失いました・・・心からお悔やみ申し上げます。



ギリシャ神話の神は私たちが祈る神さまとは違う?


泣ける度☆☆ おススメ度◎◎◎
タイタンの戦い
監督 ルイ・レテリエ/脚本 トラヴィス・ビーチャム 、フィル・ヘイ 、マット・マンフレディ
製作総指揮 リチャード・D・ザナック 、トーマス・タル 、ジョン・ジャシュニ 、ウィリアム・フェイ
音楽 ラミン・ジャヴァディ



【映画解説】
神々の王ゼウスの息子として生まれながらも人間として育った青年ペルセウスが
冥界の王ハデスに戦いを挑む、ギリシャ神話をベースにしたアクション・アドベンチャー超大作。


【映画レビュー】
私たちが普段、神社などで拝んでいる神さまは
私たちにはない力を持っていて
私たちの願い事を叶えてくれるかもしれない?
そんなすごい力をもっているだろう神さまに
戦いを挑む?逆らう?
なんてこと考えた事ありますか?

日本人のほぼ100%に近い人は
そんな大それたこと絶対に考えない!
といっても過言ではないでしょう

なのに、この映画の中のアルゴスという国の人々は
無謀にも神に戦いを挑むという
しかも、その中心となる者は
全能の神、ゼウスが人間の女性に産ませた
半神半人(デミゴットというらしい)だという

この時点でわれわれ日本人には
あり得ない話になっていると思うのだが…

ギリシャ神話の神々は
私たち日本人から見ると
かなり無茶苦茶をやり放題で
神と神の嫉妬や争いを繰り返していて
人間はその、とばっちりを受けて翻弄されている
という話が非常に多い

そう考えるとギリシャ神話に出てくる神たちと
我々が拝み崇めている神さまは
根本的に全く違う“神”なんじゃないか?と思う

自分の髪はアテーナーの髪より美しいと自慢したメドゥーサは
ゼウスの娘とされるアテーナーの怒りを買い
美貌は身の毛のよだつような醜さに変えられ
讃えられるほどの美しい髪ですら
一本一本を蛇に変えられてしまう。

神がそんなことすること自体
考えられないし
もうその時点で神さまとは思えないわけで
ギリシャ神話の神たちのおどろおどろしい話の数々は
我々日本人からするとあり得ない話ばかり

そこは、神話という形で
何百年も語り継がれてきたことなので
多少、おもしろく変えられてきた話だとして
その部分をマイナスしてみても
やはり理解できない話ばかりなのです・・・


本作はリメイクらしいが
私の記憶にあるのは1981年の『タイタンの戦い』だったか?
とにかくクリ‐チャ‐たちはコマ撮りで撮影され
カクカク動いていかにも特撮っていう感じだったが
さすがにCG技術の進歩した今日のこの映画は
まあ、映画としてはスペクタクル感たっぷりで
出てくるクリ‐チャ‐たちも特撮技術もかなり凝っていて迫力満点だから
この手の映画が好きな方には、それなりに楽しめると思う

私は諸事情で2Dで鑑賞したが
3Dだとその迫力はもっと凄かったのかも?

ギリシャ神話に詳しい方なら
頭の中で想像していた怪物などが
具体的なクリ‐チャ‐となって暴れまくるので
自分の想像との違いを楽しめたりするのだろうが
『パーシージャクソン…』も『タイタンの戦い』も
ギリシャ神話をある種のおもしろい話として楽しめないと
神さま自体に拒否感というか違和感を感じてしまい
何で人間が神さまと戦えるわけ???
半神半人ってありなのか???と
思ってしまうのは勉強不足の私だけでしょうか?


とにかく、ギリシャ神話をかなり勉強してから観た方が
それなりに楽しめるかも知れません…?





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最新映画レビュー

春との旅 映画レビュー

たいせつなのは血のつながり?心のつながり?



泣ける度★★★★★ おススメ度◎◎◎◎◎
春との旅
監督・脚本・原作 小林政広/音楽 佐久間順平


【映画解説】

足が不自由な元漁師の祖父と仕事を失った19歳の孫娘が
疎遠だった親族を訪ね歩く旅に出る姿を通し、人間の心の機微を描いたヒューマンドラマ


【映画レビュー】
最初はこんな映画じゃ泣けないぞ!
と、思いながら
最後は号泣している自分がいた

私が人生の折り返し地点を過ぎたからなのか
ひと月ほど前に父を亡くしたからなのか
とにかくこの映画には感情移入してしまった

本作の主人公“忠男”(仲代達也)と
その孫娘“春”(徳永えり)の家庭環境は複雑だ

足の不自由な、わがまま爺さんが家を飛び出し
その後を追って健気に面倒を見る孫娘との二人の旅から
この映画はいきなり始まるのだが
最初はこんな展開でおもしろくなるのか?
と、なかば諦めつつ観始めたが
この旅が孫娘が都会に出て一人で暮らすために
この足の悪いお爺さんの兄弟を訪ねて
面倒を見てもらう交渉のための旅だと
次第に分かってくる

尋ねるお爺さんの兄弟とのやり取りの過程で
このお爺さんの頑固でわがままな性格から
何年も兄弟と疎遠だったこと
孫娘“春”の母が自殺したこと
漁師の博打と言われている
ニシン漁にこだわり続け財産を使い果たしてしまったこと
などが段々と分かってくる

結局、頼って訪ねて行った兄弟たちの
誰ひとりとして
忠男を受け入れようとはしないのだが
思わぬ人からの温かい一言を
丁重に断りながらも涙ぐむ“忠男”の表情に
自分の思いとは裏腹に
あえて人生の厳しさを受け入れた決心が表れていた


この映画は
今、日本が抱えている老人問題を
別の角度から鋭く描いている映画とも言える

日本全国で老人の孤独死がときどきニュースになるが
この映画の中のセリフにもあるように
公共の老人ホームは何百人という予約待ちでとても入れず
私営の高額なホームにすんなり入れるほど
すべての老人が財産を持っているとは、とても思えない

これから更に高齢化になっていく日本で
事業仕訳によって省いた無駄な予算を
そういった高齢者施設に投入してほしいものである


日本人の心の機微に触れ
本気で泣きたい人にオススメの日本映画だ!






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最新邦画レビュー

パリより愛をこめて 映画レビュー

今どきの若者がスパイになると…



泣ける度★★☆☆☆ おススメ度◎◎◎
パリより愛をこめて
監督 ピエール・モレル/脚本 アディ・ハサック
製作総指揮 ヴィルジニー・ベッソン=シラ
音楽 デヴィッド・バックリー


【映画解説】
ジョン・トラヴォルタとジョナサン・リス・マイヤーズ演じる諜報員が
フランス・パリを舞台に激しい銃撃戦やカー・アクションを繰り広げるアクションムービー。



【映画レビュー】
僕の名前はジェームズ・リース
NYのイーストリバーの東の端っこで生まれ育ったんだ
あまり裕福な家庭じゃなかったけど
頑張って勉強して駐仏アメリカ大使の
補佐官まで勤めるようになったんだ
IQは高いから
大使を相手のチェスじゃ負けたことはないよ
けど、それは表向きの顔
本当はCIAの諜報員で
アメリカにとって必要な情報を地道に調査して
日々米国に送っているんだ
でも、僕が本当にやりたい仕事は
もっと重要な任務をこなす
CIAの捜査官として実践現場で認められたいんだ
でも、今度ワックスっていう
破天荒な常識知らずの捜査官と組まされる羽目になっちゃって
自分とは全く正反対の性格の粗野で暴力的な彼が
本当は苦手なんだよ
CIA捜査官ならもっと頭を使って
スマートに事件を解決するべきなんじゃないかな?
彼のように拳銃をやたらとブッ放して
人を殺しまくるのは好きじゃないよ
本当のこと言うと生れてからまだ一度も
拳銃で人を撃ったことなんてないんだ
あと、結婚を約束しているフィアンセのキャロリンだっているし
彼女は亡くなったお父さんの形見の指輪まで
プレゼントしてくれて
僕らはいつもラブラブなんだ
いつも携帯で彼女と話してないと
彼女も不安にさせたくないし
僕のこんなに熱いが伝わらないだろう?
でも、CIA捜査官として大事な事件を解決して
本国に認められ、もっと出世もしたいし
と仕事の板ばさみさ
えっ?スパイが人をしちゃいけないって?
それは昔の話だろ
スパイだって人の子なんだ
人をしてりっぱな家庭を持ったって
ちゃんと仕事はこなせるさ
現に僕らはし合っているけど
今までだって仕事もちゃんとこなして来れたぜ
ワックス、なんでそんな目で彼女を見るんだよ!
えっ?彼女が怪しいって?
そんな訳ないじゃないか
あれ?でも何でこんなところに盗聴器が…?
えっ?うそ?まさか?僕は信じないぞ!
僕らの愛は本物だ!
ねっ?キャロリン
そうだよね?そうだって言ってくれ!・・・・


と、お勉強はよくできるけど
人生経験がなくて、プライドが高く
実践じゃ使えない
今どきの若者のスパイアクション映画です。

いやーっ、でも、とっても
おもしろいんですなぁ、これが…

舞台がパリだと
本当に裏でこんなことがあるのかも?
って思っちゃうから不思議です…


アクションムービーファンにはおススメです!





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最新映画レビュー

パーマネント野ばら 映画レビュー

本当にたいせつな人は魂が忘れない…


泣ける度★★★☆☆ おススメ度◎◎◎◎
パーマネント野ばら
監督 吉田大八/脚本 奥寺佐渡子/原作 西原理恵子/音楽 福原まり



【映画解説】
人気漫画家・西原理恵子の話題を呼んだ同名漫画を
『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の吉田大八監督が映画化した恋物語


【映画レビュー】
田舎の小さな港町で
たんたんと綴られる世界
出戻りのパーマネント屋の娘が
わが娘や世間体を気にしつつ
自分の高校の先生と密かな恋物語?
かと思いきや…

いやー、ラスト数分前で
一気に心を持っていかれる見事な演出!
久しぶりに日本映画らしい映画を
観た気がしました。


まず、主人公の“なおこ”(菅野美穂)の
周りのキャラクターがとってもイイ!

幼なじみの親友のふたり
スナックのママの“みっちゃん”(小池栄子)と
男運の悪い“ともちゃん”(池脇千鶴)
幼い時からお互いにいつも気にかけている温かさが
小さな田舎町特有の丁度よい距離感で
じんわりと伝わってくる

野ばらの常連のパンチパーマの下ネタおばちゃんたちも
厳しくてやさしい“なおこ”の母の“まさ子”(夏木マリ)も
その別れそうな夫の“カズオ”(宇崎竜童)も
事あるごとに-チェーンソウで電柱を切っちゃう
みっちゃんのお父さん(本田博太郎)も
田舎の小さな港町の風景に馴染んでいて
とっても愛着が湧いてくる人たちばかり

そんな周りのキャラクターで
“なおこ”がこの町でどんな風に育ってきて
どんな性格の人間になったかが
ひしひしと伝わってくる

映像のトーンものんびりした田舎町を引き立ててるし
吉田監督らしいギャグも
この映画にはなかなかマッチしていて
いい味になっていると思う



人は人生の中で
いろんな人と出会い
いろんな別れを経験する
中には意識して忘れなければならない人もいるだろう?
でも、本当にたいせつな人は
たとえ頭で忘れようとしても
自分が意識しない魂の深いところで
忘れられないものなのだろう
いつまでも、いつまでも…






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最新邦画レビュー

グリーン・ゾーン 映画レビュー

本当のグリーンゾーン(安全地帯)はアメリカ本土?


泣ける度☆☆☆ おススメ度◎◎
グリーン・ゾーン
監督ポール・グリーングラス/脚本ブライアン・ヘルゲランド
製作総指揮デブラ・ヘイワード 、ライザ・チェイシン
音楽ジョン・パウエル


【映画解説】
イラク中心部のアメリカ軍駐留地域“グリーン・ゾーン”を舞台に
大量破壊兵器の所在を探る極秘任務に就いた兵士の決死の捜査を描く
戦争サスペンス・アクション


映画レビュー
もういいかげんに他人の国で戦争すんのやめろよ!
と、アメリカ大統領に怒鳴りたくなる!

第一次世界大戦から、第二次大戦
朝鮮、ベトナム、中東戦争までず~と
本土に攻撃を受けてない国はアメリカだけじゃないのか?
日本が真珠湾を爆撃したのが最初で最後で
それだって本土から遠く離れたハワイ州のこと
それもほとんどが軍事施設
戦争の一番の被害者は
戦火にさらされ逃げ惑う民間人なんだぞ!

第二次大戦時、ヨーロッパ諸国も空爆され
民間人が何万人も被害にあっているときに
アメリカのメインランドでは
民間人は歌や踊りに明け暮れて
空襲の恐怖など微塵も感じたことはなかったのでは?

本作で無理やり通訳に巻き込まれるイラク人のフレディが
クライマックスシーンで米軍のミラー准尉(マット・デイモン)に叫ぶ一言
“自分の国のことは自分たちで解決したい”が
イラク国民の心の叫びなんじゃないのか?


大量破壊兵器の撲滅だか何だか知らないが
アメリカがしゃしゃり出てきて
勝手に人の国で爆弾やミサイルをぶっぱなし
美しい街並みや自然を破壊し
民間人を巻き添えにして
戦争ゲームを楽しむことが
世界的に許されていいのか???

そんなに兵器を試したけりゃ自分の国で試せ!
ミサイル撃って軍事費を消費し経済的に活性したけりゃ
アメリカ本土は広いんだから
昔、核実験やってた中西部の田舎でやれよ!


日本人でも東京大空襲を体験した私の母の世代は
爆弾や焼夷弾が雨のように降る中を逃げ惑った恐怖の記憶が
晩年になっても消えず
ヒュルヒュルヒュル…という爆弾が落ちてくる音で
うなされることが、しばしばあったという



イラク戦争は私たち日本人には対岸の火事でしかなかったが
アメリカが本格的に攻撃を受けたのは2001.9.11米国同時多発テロで
真珠湾攻撃以来と言われている
無差別殺人のテロも民間人を巻き込む卑劣極まりない手段だが
今までアメリカがいじめてきた民族の鬱積が溜まりに溜まって
爆発した結果ともとれる9.11テロ
その報復戦争と言える2002年アフガニスタン、イラク侵攻
キリスト教を信仰している国とは思えない
報復につぐ報復の繰り返しに
世界平和を語る資格などあるのか?


一説によると
世界貿易センタービルの崩れ方の不自然さから
核が全世界的に禁止され
もう核では商売ができないと思ったユダヤ人武器商人が
あのビルに新しい爆弾を仕掛け
テロを装って旅客機を突っ込ませ
その威力を世界中の武器商人にアピールしたのが
9.11テロの真実と言われている


アメリカがメディアをすべてコントロールした
イラク攻撃の報道映像は
民間施設は攻撃していないと言いながら
夜のゴルフ練習場で打ち放されるゴルフボールのように
光の放物線を描きスロモーションで
次々とバグダッドの街を破壊していった。

そのイルミネーションのようなは美しい映像には
必死で逃げ惑う民間イラク人の姿は
まったく映ってはいなかったが
世界のメディアをコントロールすることなど
当たり前のアメリカの言う事など
誰が信じるであろう…?

以下、アメリカ同時多発テロ事件の一節を
ウィキペディア(Wikipedia)より抜粋

ブッシュ政権は、このテロ事件後のアメリカ合衆国世論の変化に合わせて、2002年に国際テロ組織とテロ支援国と断じた悪の枢軸(イラク、イラン、北朝鮮)との戦いを国家戦略とし、「アメリカの防衛のためには、予防的な措置と時には先制攻撃が必要」として推進する方針を決めた。これをもとに、アメリカ合衆国はイラクに対して大量破壊兵器を隠し持っているという疑惑を理由に、イラク戦争に踏み切った。
この行動に対しては、アフガニスタン(=ターリバーン政権)攻撃と異なり、国際的な態度は分かれ、イギリスや日本、フィリピンやスペイン、イタリアなどのアメリカ合衆国同調国と、フランスやドイツ、ロシア、中華人民共和国などのアメリカ非同調の立場に分かれた。
その後の2004年10月、アメリカ合衆国政府調査団は「開戦時にはイラク国内に大量破壊兵器は存在せず、具体的開発計画もなかった」と結論づけた最終報告書を米議会に提出。2006年9月には、アメリカ上院情報特別委員会が「旧フセイン政権とアルカイダの関係を裏付ける証拠はない」との報告書を公表しており、開戦の正当性が根底から揺らぐ結果となっている。







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最新映画レビュー

プレシャス 映画レビュー

この映画が本当に伝えたかったこととは?



泣ける度★☆☆☆☆ おススメ度◎◎
プレシャス

監督 リー・ダニエルズ/脚本 ジェフリー・フレッチャー/原作 サファイア
製作総指揮 オプラ・ウィンフリー、タイラー・ペリー、リサ・コルテス、トム・ヘラー
音楽 マリオ・グリゴロフ



【映画解説】
ハーレムを舞台に、過酷な運命を生きる16歳のアフリカ系アメリカ人少女
クレアリース“プレシャス”ジョーンズの人生を描く人間ドラマ
著名人から絶賛された「プレシャス(原題:PUSH)」の映画化



【映画レビュー】
Yahoo映画のレビューを見ても割と高評価な『プレシャス』
ただ、この映画はいったい誰に何を伝えたかったのだろう?


主演のクレアリース“プレシャス”ジョーンズは
ハーレムで生まれ実父と義理の父による近親相姦で2度も妊娠をさせられ
母親からは精神的にも肉体的にも虐待を受け
読み書きすらできずに
学校では誰とも口をきけないで過ごす16歳の女の子

と、ここまででも相当暗く重い映画になりがちだが
それを救っているのが随所にインサートされる彼女の妄想シーン!
過酷な現実から逃避するように
夢の中の彼女はとても幸せで明るい

アカデミー賞に何部門もノミネートされたのは
本作が2作目の監督作品というリー・ダニエルズの
そういった演出的手腕によるところだろう



オープニングの引用「すべては宇宙からの贈り物である」
ラストの監督からのメッセージ「すべてのいとしい女の子たちへ」

この二つのメッセージとこの映画を私なりに解釈すると
たとえどんなに苛酷な逆境に立たされても
愛は、前を向いて生きてゆく強さを与えてくれる
と、いったところだろうか…?

でも私が知りたかったのは、この母親“メアリー”は
どんな境遇で育ってきたのか?だ


このアダルトチルドレンの典型ともいえる母親の過去はこの映画には出てこないが
けして良い子供時代を過ごしてはいなかったのだろうと、だれもが想像できる
それほど実娘を虐待し続けるのだ


舞台は一番荒れていたと言われる1987年のハーレム
アメリカの人種差別が生んだ格差社会の巣窟
“プレシャス”に学校で学ぶことへの無駄を言い続け
「おまえはただ食事をつくってりゃいいんだよ!」と罵倒し
ダウン症のプレシャスの長女を祖母に押し付け
その生活保護で自分がのうのうと暮らし
その手当が途切れないように
「学校なんか行かず、外出は役所へ行くだけにしろ!」と指図するこの母親も
きっと、まともな教育を受けて育ってはいないことは想像に難くない

自分も教育を受けていないから字も読めずまともな職にも就けない
白人を憎み、初めから人生をあきらめ、努力することを放棄し、
実娘を家政婦代わりに使い、彼女の未来を親が自ら閉ざす。


この映画を見ていて思い出したことがある
1970年頃のNYのハーレムを見てきた私の大学時代の恩師が
「彼ら(黒人)は働かないで一日中ただ何もしないで過ごす
掃除もせずに床が汚れたらそこに新聞紙を敷くだけ
という生活をしている」と語っていたが
今思えば、働かないのではなく
働きたくても働く場所がなかったのではないか?
明日への希望が見えず、生きてゆく術が見つからなかったのでは?
徹底的な人種差別が生み出した格差という弊害が連綿と続き
アメリカの至る所に本作のような環境を作ってしまったのでは?



チャンスの国アメリカで
そのチャンスの糸口も見えないほどの辛く貧しい境遇
我々日本人の想像をはるかに超えた有色人種への差別
この映画が伝えたかったのは
“希望を捨てずに生きてゆくことのたいせつさ”だけではなく
アメリカという国で実際に起こっている
人種差別が生み出した格差社会への問題提起なのでは?




この映画から20年以上経ったアメリカでは
黒人を始め有色人種も
努力次第でそれなりの地位を獲得できるようになり
昨年、米国創立以来はじめて黒人の大統領が誕生した。

だが、人種差別は依然として、場所を中東に移し
アメリカ人と○○○人というカタチで続いている

そんなアメリカに愛を語る資格はあるのだろうか?
と、少し憤りも覚えた映画だった…



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最新映画レビュー

アリス・イン・ワンダーランド 映画レビュー

過剰な期待は映画本来のおもしろさを見失う?



泣ける度☆☆☆ オススメ度◎◎◎
アリス・イン・ワンダーランド
監督 ティム・バートン/脚本 リンダ・ウールヴァートン/原作 ルイス・キャロル
製作総指揮 クリス・レベンゾン/音楽 ダニー・エルフマン



【映画解説】
かの有名なルイスキャロルの小説「不思議の国のアリス」と、その続編「鏡の国のアリス」をもとに
鬼才ティム・バートン監督がイマジネーションあふれる独自の世界観で描くファンタジームービー


【映画レビュー】
普通におもしろかった!?
なぜなら子供の頃に見たディズニーアニメのキャラクターと
あまり変らなかったから…

ティム・バートンがあの『不思議の国のアリス』を撮る
というだけで期待度200%の映画ファンだらけだったはず
だけど、出てきたキャラクターは
昔のディズニーアニメのキャラとほぼ同じ
ティム特有のユニークキャラ爆発を期待していたファンには
ちょっと肩すかしだったから
みんなのレビューも厳しい評価になったと思う

でも、映画としては大人になりかけの19歳のアリスも初めて観たし
妹へのコンプレックスの塊から自分を認めさせようと
エゴイズムに走ったデカヘッドの赤の女王や
自分の可愛さを武器に、一見やさしいが実は残酷な白の女王
権力に抗えない民衆を救うジャンヌダルク的な役割の女戦士アリスなど
今までにないアリスワールドを観られ
リンダ・ウールヴァートンの脚本に私は満足です。

ただ、興行主や配給会社が、昨今の3Dブームで儲けようと
ここぞとばかりに3Dでしか上映しない映画館が多く
『アバター』で3Dの字幕の読み辛さに懲りていた私は
2D上映館を探すのに一苦労でした

監督自身がいっているように
この映画は2Dで撮影されたものを後から3Dに しているので
別に2Dでも十分に楽しめるのです。
むしろ字幕版を観るならば字幕が前後に移動する3Dより
2Dで観た方が映画自体に集中できると思います。
(3Dなら吹き替え版がおススメ)


私はティム・バートン監督の熱烈なファンではないが
彼のファンは期待して観に行って、がっかりして
酷なレビューを書いている感が多く
そんなレビューを気にせずにニュートラルな気持ちで
全く新しいアリスワールド(キャラは別)を観ることをおススメします。

唯一ティム・バートンらしさが出ていたのは
エンドロール前の枠に花やキノコが生えていく
タイトル枠くらいだったかな?


それにしても、ディズニーアニメのキャラクター作りは
何十年たっても強烈な印象として残っていて
改めてディズニーアニメのすごさを思い知りました。

アリスを観るにあたり、少しでも安くとチケット屋さんに行ったら
どこも『アリス・イン・ワンダーランド』はすべて完売
いやーっ、プロモーターの宣伝効果は恐ろしいもんです



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最新映画レビュー

武士道シックスティーン 映画レビュー

剣の道を通じて清々しい涙を流そう!


泣ける度★★★☆☆ オススメ度◎◎◎◎
武士道シックスティーン
監督・脚本 古厩智之/脚本 大野敏哉/原作 誉田哲也/音楽 上田禎



【映画解説】
同じ剣道をやりながらも、まったく勝負に対する考え方の違う二人の女子高生が
剣道を通じて、戦うこと、勝つこと、真の強さの意味を学んでいく青春剣道ムービー


【映画レビュー】
主演の二人の男性ファン狙いのただの青春映画か?
と、思いきやとんでもない!
観ているうちに目頭が熱くなり
ラスト近くで思わず感涙!
なかなかいい映画を観させてもらいました。

特にキャスティングが良い!
主演の二人、“香織”と“早苗”が生き生きしてるし
観ていて気持ちがいい

いまどきこんな素直な女子高生いる?
と、ちょっと思ったりしますが
題材が剣道なだけに、いてもおかしくないかも?
と、納得したりして…
出てくる男子高校生もとてもさわやかで
やっぱりうちの息子にも武道をさせるべきかなぁ?
と、考えさせられました。



16歳と言えば青春まっただ中
勉強以外に楽しいことがいっぱいあって、謳歌したい時期
でも、香織(成海璃子)は道場主の父に
幼いころから剣道だけをやらされて、剣の道一筋
剣道で勝つこと以外、眼中に無い
一方、早苗(北乃きい)は剣道もするが勝ち負けにこだわらず
他の女子高校生と同じようにオシャレをしたりして
高校生活を楽しんでいる


主人公の二人の描き方も対照的で
初めこそ香織が強く、早苗が弱そうに見えるが
途中で自分の剣道人生に疑問を持ち始め、葛藤する香織は
純粋に何かに打ち込んできた人が、躓いたときに崩れてしまう
ガラスのような弱さも合わせ持つ
早苗が勝負になると逃げるようにしてきたのは
父の人生を見てきて自然と身に付いた、ある種の防衛本能で
普段はその強さを見せずに
ひ弱なキャラで周りを安心させつつ
いざという時、芯の強さを発揮する
本当に強いのは早苗のような人なのでは?
(社会でも意外とこの手の人が出世する…?)


その辺りの人間の本当の強さや心の機微を
剣道と言う勝ち負けのはっきりしている題材を通して
観客に語りかけてくるこの映画は
主演の二人の実年齢と近い違和感のない好演と相俟って
純粋に楽しめる青春映画に仕上がっている



古厩監督の演出にかなり厳しい批判もあるようだが
特に泣けるようなストーリーがあるわけでもないのに
じわりと感動の涙がいつの間にか頬を伝わっていて
観たあとに清々しい気持ちにさせてくれる
インディーズ青春映画の雄の本領を発揮したと思える
おすすめ映画です!

追伸
映画を観た後で誉田哲也氏の原作を読んで
ここを映画でサラッと流しちゃだめでしょ!
思ったシーンがあったので追記しますが

香織がふと己の剣道に疑問を感じ、部活を休んで
抜け殻のようになってしまうシーン
映画ではあまり深い心理描写は描かれていないが
原作(文庫の267P~272P)では幼い時から父に剣道一筋で鍛えられ
子供らしい遊びも満足にさせてもらえなかった兄と香織が
剣道の稽古へ行くときに通る近くの児童公園には
いつも同級生たちが遊んでいて
「香織ちゃん、また剣道?いつ遊べるの?」と訊かれるが
物心ついたときから、剣道しか知らない香織は答えられない。
いつも隣にいた兄が「また今度ね」と代わりに言ってくれたが
その公園で同級生たちとの遊びが実現した事は一度もなかった。
道場での稽古帰り、真っ暗になった公園には子供たちの姿はなく
稽古で、打たれても蹴られても、転ばされても泣かなかった香織が
なぜだか急に悲しくなり涙をこぼす
そんな香織に小さくしゃがみこんで、兄は優しくこう言う
「・・・香織。剣道。やめたいの?」
「もしそうなら、僕が、父さんにいってあげるよ」
答えない香織に
「香織、つらかったら、僕には、そういっていいんだよ」
と言ってくれる兄に、つらいのではなく
暗く、誰もいなくなった公園が、ただ寂しいと感じ、涙がこぼれただけ
でも、その一言すら飲み込んだ香織は、兄にこう言う
「あたしは・・・兄ちゃんが、いてくれれば・・・いい・・・」
その香織の一言に、兄はどう言葉を継ぐべきか、迷ったような顔をする。

このたった1~2ページのくだりを読んだだけで
目頭が熱くなった
言わば、この作品のハイライトとも言うべきシーンを
何でもっと時間をかけて描かないのか?

映画だけを観た時は、それなりに良くできていて、オススメしたが
原作を読んで、いちばん大事なこのシーンが
サラッと描かれていることを知り
ちょっと演出と脚本に疑問を感じた

もしDVDで観る予定がある方は
ぜひ原作本も読んで、映画の描き方との違いの感想を
聞かせて欲しいものである。




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最新邦画レビュー

オーケストラ! 映画レビュー

心ゆさぶられるチャイコフスキーに感涙!


泣ける度★★★★★ オススメ度◎◎◎◎◎
オーケストラ!
監督・脚本 ラデュ・ミヘイレアニュ/脚本 アラン=ミシェル・ブラン、マシュー・ロビンス
音楽 アルマン・アマール



【映画解説】
かつて一流オーケストラの天才指揮者だったが、今は清掃員として働く主人公が
ある目的のために偽の管弦楽団を編成し、パリの一流劇場でチャイコフスキーの
バイオリン協奏曲を演奏する奇跡の物語


【映画レビュー】
私はそれほどクラシック音楽に詳しい方ではないが
最近のクラシックブームを支えるほとんどの人は
『のだめカンタービレ』の影響でファンになった人たちなのでは?


日本というお国柄のせいなのか
『のだめ…』以前のクラシックはある一部の人たちの音楽で
一般大衆の人たちとは
かなり距離がある音楽だった気がする

だがヨーロッパに行くと全く違う
クラシックが街中にあふれているのだ
パリの街角などはクラシックを演奏する
ストリート・ミュージシャンも少なくないし
オペラなどクラシックを題材にした歌劇も
普通に中学生や高校生がおしゃれして観劇し
幕間に社交の場で語り合っている

コンサート劇場に入れない人たちは
その屋外に映し出される街頭ビジョンなどで
オーケストラの映像を観ながら
じっとクラシック音楽に耳を傾けている
人々の生活の中に
ごく自然にクラシックが根付いているのだ

そんな日本とは比べようもない
恵まれた環境の中で作られた
この映画を観たときに真っ先に感じたのは
やはり日本人にはこんな映画は作れないなぁ…
という悔しさだった


『のだめ…』はそれなりに良い映画だったが
本作はクラシックの捉え方、感じ方、扱い方が
やはり日本人スタッフの作る映画とは圧倒的に違う!


監督のラデュ・ミヘイレアニュは
ルーマニア生まれのユダヤ人なのに
フランス映画らしいユーモアが
いたるところに散りばめられていて
後半の演奏シーンとのギャップに
厳しい批判もあるようだが

そのシーン撮影だけに3か月もかけたという
ラスト12分間のチャイコフスキーのバイオリン協奏曲の
オーケストラ演奏シーンと
アンヌ=マリー・ジャケとアンドレイの関係を解き明かす
数々のカットバックシーン
それだけで観客を剃涙へと引きずり込む見事な演出
そこには台詞を必要としない
圧倒的な音楽の力がすべてを物語っている


『のだめ…』の前編で
千秋がルー・マルレ・オーケストラを甦らせた
チャイコフスキーの「序曲1812年」
の名演もかなり感動したが
本編のチャイコフスキーのバイオリン協奏曲は
アンヌ=マリー・ジャケのソロが始まった途端
それまで忘れていたボリショイ管弦楽団員たちの
プロのクラシック演奏家魂に火をつけた

誰もが今まで聴いた事のない
究極のハーモニーへと導いていく様は
鳥肌が立つくらいの高揚感を憶える


ジャケ役のメラニー・ロランのバイオリンも
わずか4カ月の練習であれだけの指さばきを
身につけたとは思えないほどの鬼気迫る名演
改めて役者の集中力の恐ろしさに感服した


現実にはあり得ない30年ぶりの偽オーケストラの演奏や
少しエスプリを効かせすぎたユーモアの数々など
『のだめ…』のギャグにも劣らない演出に
ご不満の方もおられるだろうが
純粋にクラシック音楽が好きな人
私も含め『のだめ…』を観てクラシックファンになった
俄かクラシッカーの人たちにもぜひ観て欲しい
クラシック音楽映画の名作だと断言する!

オススメ映画だ!



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