Entry Navigation

悪人 映画レビュー

みんな心の隙間を埋めてくれる誰かを求めてる・・・



泣ける度★☆☆☆☆ オススメ度◎◎◎◎
悪人
監督・脚本 李相日/原作・脚本 吉田修一/音楽 久石譲



【映画解説】
朝日新聞夕刊に連載され、毎日出版文化賞と大佛次郎賞を受賞した
吉田修一の話題作を『フラガール』の李相日監督が映画化した犯罪ドラマ。


【映画レビュー】
主演女優・深津絵里が『第34回モントリオール世界映画祭』
最優秀女優賞を受賞したことで話題になっている映画『悪人』

劇場は老若男女を問わず、様々な世代の人で埋まっていた
時間と予算の関係か、原作のいろんな部分がカットされ
登場人物もだいぶ省かれているが
映画は映画でよくまとまっていた


物語の中心は出会い系サイトで知り合ったOL“石橋佳乃”(満島ひかり)を
ある経緯で殺してしまう青年“清水祐一”(妻夫木聡)と
その青年と逃亡を図るやはり出会い系サイトで知り合った女性
“馬込光代”(深津絵里)が中心となっているが
その青年の過去や育った環境
一緒に逃げる女性の満たされない日々の生活
殺されてしまったOLの性格や死に至る原因
その状況を作り出してしまう旅館の御曹司のボンボン
“増尾圭吾”(岡田将生)の心ない素行
などが複雑に絡み合って
本当の“悪人”とは誰なのか?を観客に問う
心の物語である


世の中でもっとも許されざる行為は“殺人”である
と誰もが当然のように思っているが
この映画を見ていると本当に許せないのは果たしてそうなのか???
と思えてくる。
人は善悪の判断を含め、頭でモノを考えて行動するが
いちばんしてはいけない行為は
人の心を踏みにじる事なのではないか?
純粋な心ほど、踏みにじられた時のショックは大きく
そのダメージは計り知れない
本作にはそんな卑劣な行為がいやというほど散りばめられている


・幼い子供を港にひとり置き去りにして男と逃げてしまう母親
・巧みな話術で老人を騙し、なけなしの金を巻き上げる悪徳医薬品業者
・自分の見栄のために親にも友達にも平気で嘘をつくOL
・自分本位で男を値踏みし目の前で男のプライドを踏みにじるOL
・そのOLをドライブに誘い気分次第で夜の山中に車から蹴り捨てる男
・プライドを傷つけられた自分を救ってくれようとする男に
 逆に腹癒せに自分を犯したレイプ犯に仕立ててやると罵るOL
・出会い系サイトでも純粋に恋人を求めていた女性に
 SEXが済むとまるで娼婦を扱うようにお金を手渡す男
・殺されたOLの父に謝りもせず殴り倒した揚句その無様さを
 おもしろおかしく周りの友人に喋り捲る男

そんな人でなしの人間の持つ“負の心”マイナスのフォースが絡み合って
結果的にこの殺人事件は起きてしまう
この殺人はそういった心ない人たちの
負の心の連鎖から生まれた悲しい結果なのだ

深津絵里の演じる“光代”は
そんな人殺しの“清水祐一”と、あえて逃避行する道を選ぶ
それは何故か?

結果的に人を殺してしまったが本来おとなしくて優しい性格の“祐一”は
彼女の満たされない心を埋めてくれる何かを持っていた
“祐一”も自分の心の隙間を“光代”が埋めてくれると感じた
まるでジグゾーパズルのピースがピタッと嵌るように
お互いに今まで自分がずっと求めていたものを
満たしてくれる相手をやっと見つけた
もしかしたらそれは男と女の直感のようなものかも知れないが
変化のない生活の中で“祐一”と出会ったこと
求められるままにその日のうちに関係を持ってしまったこと
行為の後にお金を渡され、深く傷ついたこと
それを後日わざわざ長崎から謝りにきた彼に心が救われたこと
旅の途中で彼が殺人を犯したことを知ったこと
頭では分かっていても心が、自首しようとする彼を引き留めてしまったこと
そんな彼女の心の葛藤や微妙な変化を演じきったことが
最優秀女優賞獲得に結び付いたのだろう


原作は映画には出てこない様々な登場人物の
もっと細やかな心理描写と感情表現で
さらに深く人の心の葛藤を描いているが
李監督との共同脚本になっているので
映画で削除された部分は原作者も納得のうえなのだろう


原作者の吉田修一がこの物語で伝えたかったこと
それは各章の題

第一章 彼女は誰に会いたかったか?
第二章 彼は誰に会いたかったか?
第三章 彼女は誰に出会ったか?
第四章 彼は誰に出会ったか?
最終章 私が出会った悪人

からも感じ取れる


親?子供?友達?恋人?人によって生れる心の隙間はさまざまだが
人は誰もが本当に心を満たしてくれる相手を求めている

たとえその入り口が出会い系サイトだったとしても
人と知り合える機会が限られた地方都市ではしかたがないのか・・・





ためになったらポチっとね!
人気ブログランキングへ ブログランキング blogram投票ボタン にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ

スポンサーサイト
category
最新邦画レビュー

BECK 映画レビュー

永遠のギター小僧必見!音楽魂が甦る!



泣ける度☆☆☆☆☆ オススメ度◎◎◎◎
BECK
監督 堤幸彦/脚本 大石哲也/原作 ハロルド作石
音楽 GRAND FUNK ink


【映画解説】
メジャーデビューを目指して奮闘する高校生たちが
さまざまな試練を乗り越えていく姿を描く
ハロルド作石による人気音楽マンガを
堤幸彦監督が映像化した青春音楽ムービー


【映画レビュー】
人気コミック『BECK』が映画化されるとなれば
永遠のギター小僧である吾輩が観に行かない訳にはいかないな
と思い、さっそく映画館へ・・・

映画化のために、あんなイケメンばかり揃えて
肝心のBANDの演奏は大丈夫か?と心配でしたが
やっぱ、俳優ってすごい!
短期間の集中練習であれだけ弾けるようになっちゃうなんて!
アップの指使いとかは
プロの吹き替えを使っているのでしょうが
取りあえずある程度までは弾けないと
ライブの乗りもガタガタになっちゃうだろうから
それぞれのパートが、結構サマになっていたところに
猛練習の跡を感じました。

原作の方は、友達の漫画好きに前から勧められていて
読もう読もうと思ってたのですが
結局、映画が先になってしまった・・・

原作の『BECK』は
天才ギタリストの“南竜介”と
天使の歌声?を持つ“田中幸雄” (通称:コユキ)との
出会いから始まるバンド“BECK”の成長の様子を描いているらしいけど
映画化に当ってファンの誰もが心配していたのは
“コユキ”の歌声と歌唱力

映画で最初にコユキの歌が凄いことを知るのは
竜介のバイト先の釣り堀で
真帆が歌う“DYING BREED”の曲をコユキが口ずさんだ瞬間
その歌声に真帆が圧倒されるシーンだが
実際には歌声は聴こえず、不思議な効果音と情景のカットバック
コユキの口パクで、その神秘的な歌声が表現されている
そのシーンを観た瞬間
「おっ!さすが堤幸彦、最後の最後のコンサートシーンまで
この神秘的な歌声を取っとくのね!」やるなぁ・・・
と思って、最後のコユキの歌声までワクワクしていたのに
ラストの“グレイトフル・サウンド”でのクライマックスシーンでも
同じように英語の歌詞のスーパーだけで歌声を聴けなかった途端
「最後の最後も口パクかよ!そりゃないぜ!」と
ガックシきてしまったのは私だけではないはず

そりゃあ、誰もがウットリと聴き惚れて
陶酔してしまうような歌声の持ち主は
そう簡単に見つかるものじゃないと思うけど
吹替えでもいいから最後クライマックスは堤幸彦なりの“天使の歌声”はコレ!
というものを聴かせて欲しかったですね。

ずっと前に読んだ村上龍の「コインロッカーベイビーズ」に
“ハシ”と“キク”という主人公がでてくるのだけれど
その“ハシ”も一度聴いたら誰もが痺れてしまうような
この世のものとは思えない歌声の持ち主で
あの小説も確か映画化されたような記憶があるけど
(スミマセン私の勘違いでした、これからだそうです・・・)
聴いた人の誰もが圧倒され痺れてしまうような歌声を見つけたら
それだけで、こういう映画は、ほぼ完成したと言ってもいいでしょうね!
(ハリウッド版コインロッカーベイビーズはどんな声を選ぶのか楽しみです)


噂によると今回は原作者の“ハロルド作石”の強い希望でそうなったとか?
でも、実写で映画化したんだから
やっぱり音楽に一過言あるという堤監督なら
原作者と戦って欲しかったですね

でも、一度聴いたら忘れられない歌声となると
『もののけ姫』の“米良美一”みたいな人に
なっちゃうんだろうなぁ・・・?


私がロックにハマっていたのは1970~1980年代で
やっぱり“LED ZEPPELIN”や“DEEP PURPLE”なんかの
ギターフレーズに聴き惚れていましたが
BECKといえば“JEFF BECK”で
この映画のテーマ曲の
“LED HOT CHILI PEPPERS”や“OASIS”は
一つ後の世代(いや二つ以上かも)で
堤監督は同年代なのにテーマ曲も
やはり原作者のハロルド作石の世代になっているのが
ちょっと悔しかったというか時代を感じました
ロックは‘70年代か‘80年代に行くところまで行ったと思っている私には
何でレッチリ?何でオアシス?という感じでした・・・

でもイケメンの俳優たちも凄く頑張っていて
堤監督自身が語っているように
原作のイメージを裏切らない“本気”のバンド感は
しっかりと伝わってきたし
『ソラニン』のときにも感じた、あの頃の熱い想いを
久々に感じさせてくれた傑作バンドムービーです

オヤジバンドで未だに頑張っている方々も
あの頃の熱い想いを思い出したい人には
ぜひ観てみていただきたい作品です。

でもBECKのメンバーではなく“斎藤”役のカンニング竹山が
自分に見えてきてしまっても知りませんよ・・・(笑)





ためになったらポチっとね!
人気ブログランキングへ ブログランキング blogram投票ボタン にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ

category
最新邦画レビュー