映画 『人間失格』 レビュー

捨てるしかない人生か?掴むしかない人生か?


泣ける度☆ オススメ度◎◎
人間失格
監督 荒戸源次郎/原作 太宰治/脚本 浦沢義雄 、鈴木棟也
製作総指揮 角川歴彦/音楽 中島ノブユキ


【レビュー】
恥ずかしながら、私はこの名作をまだ読んでいない(汗)
でもこの映画を観て読んでみたくなり
映画館の帰りにさっそく古本屋?へ駆け込んだ・・・


昭和を代表する作家、太宰治の「人間失格」
映画化は難しいと言われていたせいか
映像も役者もかなり気合が入っていたように思う

スクリーンから受ける印象は
小津安二郎やマキノ雅弘時代の映画の雰囲気を
意識して作っているような感覚
時間の流れ方もゆっくりでセットや美術もかなり凝っていて
昭和の始めのあの時代を見事に再現している
同じ太宰作品の『ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~』も
美術などはかなり凝っていたが
ロケセットも含め
この作品はそれ以上に凝った作りに感じた。


文学的な表現を意識したせいだろうか?
映像もかなり美しく撮られていて
それを観るだけでも一見の価値はある!
冒頭の大貫妙子の"アベマリア"もちょっとレトロチックで
なかなか良い味を出していた
と、後で気づいたが何で"アベマリア"だったのだろう?
という疑問の答えがラストシーンの数カット前に明かされる
この曲は荒戸監督の仕組んだレクイエムだったのだと
そのシーンを観て初めて理解する
みなさんもそのシーンをお楽しみに・・・


『ヴィヨンの妻 ・・・』の主人公もそうだったように
太宰作品には自殺のシーンが付きもので
大量の薬を飲むシーンを観るにつけ
つくづく太宰作品に出る役者さんは大変だなぁ・・・と思う


太宰治はの実家は青森県北津軽郡でも有名な大地主で
彼は生まれながらにして
両手に抱えきれないほど多くの富を手にしていた

そういう意味で彼の人生はその手に抱えきれないものを
捨てるしかない人生だったのだろう?

その放蕩ぶりも自堕落な生活の果てに堕ちてゆく生き様も
何も持たないで生れてきた人間からは考えられないものだったであろう


あの時代、貧しさの中から何かを掴もうと必死に努力し
頑張った人間が日本経済を支え、後の日本を造ってきた

ほとんどの貧しい日本人は生きるのに必死で
死を考えるような余裕などとてもなかった

だから太宰の分身である"葉蔵"のように自分の出自に悩み苦しんで
「生まれてきてすみません」などと言えること自体が贅沢なことで
まして自殺など到底理解できなかったに違いない
でも葉蔵はとにかく捨てたかった
他人から見れば羨ましい富や境遇も
葉蔵には重荷だったのだろう
そして最後は命までも捨てるしかなかったのか・・・

そんな彼が女にもてたのも
その儚げな雰囲気に加え
太平洋戦争へと突入していく時代に
葉蔵のような弱そうな男は少なかったから
女たちから見れば男尊女卑の封建社会とは正反対に見える
今でいう草食系男子に新種の魅力を感じて
魅かれていったのでは・・・?



聞くところによると原作の大庭葉蔵は映画とは違った
自意識過剰の自堕落青年に描かれているようなので
原作を読むとまた違った太宰像が見えてくるかも知れない
さっそく読んでみたいと思う


スポーツの世界でもそうだが
トップに立つような人は
幼い時から何不自由なく育ったという人はあまり聞かない

やはり人間は努力して自分の手でひとつひとつ
欲しいものを掴み取らなければ
自分の理想とする人生にはならないのだ!

と、自分に言い聞かせ
人間失格にならにための努力を
今日も続けるのである・・・



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