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マイ・ブラザー 映画レビュー

原題の意味するところはもっと大きい?



泣ける度★★★☆☆ オススメ度◎◎◎◎
マイブラザー
監督 ジム・シェリダン/脚本 デヴィッド・ベニオフ
製作総指揮 タッカー・トゥーリー 、ザック・シフ=エイブラムズ
音楽 トーマス・ニューマン



【映画解説】
デンマーク映画『ある愛の風景』を、トビー・マグワイア、ジェイク・ギレンホール、
ナタリー・ポートマンらの豪華共演でリメイクした作品。
戦争のもたらすあらゆる悲劇と家族のきずなが胸を打つ感動の家族ドラマ。
【映画レビュー】
“世界の果てをみた兄に、まだ声は届くだろうか。”
『マイ・ブラザー』原題は『BROTHERS』
この二つは同じようだがまったく違う

予告編を見て兄弟愛がテーマの泣ける映画だと思い観てきたのだが
テーマの焦点は兄弟愛ではなく
むしろ『BROTHERS』という原題通り
残された人を総称して
弟たち[夫婦愛や家族愛]を描いている。


親の期待を裏切らず、軍人となった出来の良い兄と
それとは対照的な厄介者の弟
『リバー・ランズ・スルー・イット』など
そんなパターンの映画は過去にもいくつかあったが
この映画は一見同じようなパターンを装いつつ
戦争を体験した人とそうじゃない人
人を殺したことがある人とそうじゃない人
が描かれている。

戦争の為の精神的犠牲者とそれに戸惑いながらも
しっかりと支えていこうとする人たち
そう考えると原題の『BROTHERS』は納得できる。


銀行を襲い刑務所で服役し出所してきた弟を迎える家族
父親は自分も軍人だった経験から
職業軍人として国の為に努める兄を誇りに思うが
犯罪を犯し出所してきた弟を厄介者扱いし批判する
兄嫁の“グレース”(ナタリー・ポートマン)も
この昔から乱暴で厄介者の義弟があまり好きではない
だが、兄の“サム”(トビー・マグワイヤ)は
この弟にはひたすらやさしい
でもそんな兄よりも何倍もやさしいのが
弟の“トミー”(ジェイク・ギレンホール)だ。


兄のサムにある日アフガン出兵の任務が下り
愛する幼い二人の娘と妻を残し戦場へと赴任する
残された妻のグレースは夫の帰りを待ちながら
娘たちを元気づける毎日
一方、弟のトミーは払えなくなった飲み代を借りる電話を
平気で夜中に掛けてくるような
相変わらずずさんな生活を送っていた

そんな時、突然サムの戦死の知らせが届く
あまりの父親の突然の死に、悲嘆にくれる妻と娘
兄の突然の死に自分もどうしていいか判らずにいるトミーに
元軍人の父は心ない言葉でその無念さをぶつける

サムの死で家族がバラバラになりかけてしまいそうになるが
トミーは愛する兄の代わりに残された家族を元気づけ
その傷を癒そうとあらゆる面で懸命に支えになろうとする

最初は距離を置いていたサムの娘たちも
そんな叔父のやさしさにだんだんと癒されて心を開き
次第に打ち解けていく

それを見ていたグレースも
自分の心の穴を埋めてくれるトミーのやさしさに心を開き始めるのだが
そこへ死んだと思っていた兄のサムが
生きて帰ってくる
喜びと戸惑いの入り混じる中、家族はサムを迎えるが
戦場で心に深い傷を負ったサムは
別人のように心を開かない人間となってしまっていた

映画の後半はそんなサムを必死で受け入れようとする家族と
絶対に戦場での出来事を明かさない
サムとの心の葛藤が描かれてゆくのだが・・・

この映画の放題である『マイ・ブラザー』
それを思わせるのがジェイク・ギレンホール演じる
弟“トミー”のやさしさだ

無事に家族の元へ帰ってきた兄のサムが
トミーと妻や娘たちの仲の良さを見て
ふたりの関係を疑った言葉をトミーに投げかける
そんなサムを何も言わずにじっと見つめ、ただ抱きしめるトミー
その後、娘のイザベルの誕生会に招かれたトミーが
たった1時間前に知り合った女性をケイヒル家に連れてくるシーン
自分を含め妻のグレースも疑っている兄に
“自分にはちゃんと彼女がいるよ”と
安心させるため、わざわざ家族の集まる場所に連れてくる
そんな気遣いができるトミーこそ
この映画の中でいちばん心のやさしい人間なのだと感じた

この映画の邦題を『マイ・ブラザー』にしたのも
そういった理由からかもしれない
でも、この映画の伝えようとしている事は
そんな個人の話よりももっと大きななもののような気がする。



私の父は昭和3年生まれで17歳で終戦を迎えた
年齢的に戦場へは行っていないが
静岡の工場で武器を作らされていて
育ち盛りなのに食べるものが満足に支給されず
毎日ひもじい思いをしながら作業させられていた。

昭和20年3月10日の東京大空襲で母と姉を亡くし
私が物心ついたときから毎年3月10日には※東京都慰霊堂に必ず連れて行かれ
訳もわからず拝まされた記憶がある。
※(関東大震災58,000人、東京大空襲100,000人の亡くなった人たちの
御霊と遺骨もあわせて奉安されている、東京墨田区横網町公園にある霊堂


だが、父が戦争の話を私たち家族に語った事は一度もない
父の記憶の中には人生で最も苦しい記憶だったのだろう
私にとっては祖母と伯母が逃げ込んで焼夷弾が落ちた明治座に
父は母と姉を探しに行ったが
黒焦げの丸太ん棒のような死人の山をかき分け必死に探しても
ついに母と姉と判る死体は見つかなかったらしいと
私は母から聞かされた。

元来、芝居が好きだった父が
明治座の芝居をそれ以来一度も見に行かなかったのは
そういった記憶を思い出したくなかったからだろう・・・

戦場に行かなかった父でさえ
戦争の事を全く語らなかったのだから
戦地で戦友が死に、敵を殺してきた人たちが
たとえ生きて帰ってきたとしても
自分を待っていた家族に戦争の話などできるわけがない

戦争とは我々戦争未経験者には解らない大きく深い心の傷を
人間に刻みこんでしまうものなのだろう。


本作のサムが行った戦地は2007年のアフガン
つい3年ほど前のできごとだ
何の目的でアメリカが未だに中東で戦争を続けているのか
まったくわからないが
この映画で描かれているサムのように
戦争の真の犠牲者は亡くなった人ばかりではなく
身近な人を亡くしたり、それを見てきた人たち
そんな普通ではなくなってしまった人たちの心を救おうとする
家族なのではないのか・・・?

そんなことを考えさせられた邦題よりも原題の『BROTHERS』に近い
大きなテーマの貴重な作品だった。





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