クレイジー・ハート 映画レビュー

アメリカ人にとっての♪カントリーとは?



泣ける度★★★☆☆ オススメ度◎◎◎◎◎
クレイジー・ハート
監督・脚本 スコット・クーパー/ 原作 トーマス・コッブ
製作総指揮 ジェフ・ブリッジス、マイケル・A・シンプソン
       エリック・ブレナー、レスリー・ベルツバーグ
音楽 T=ボーン・バーネット 、スティーヴン・ブルトン




【映画解説】
かつて一世を風靡した伝説のシンガーソングライターの愛と再生を
ジェフ・ブリッジスが好演し見事アカデミー賞主演男優賞、主題歌賞
を受賞した感動のヒューマンドラマ


【映画レビュー】
アメリカ、特に西海岸で売れたミュージシャン
ジョンデンバー、ボブディラン、リンダロンシュタット、オリビアニュートンジョン
シンディローパー、リトルフィート、ドュービーブラザース、イーグルスなど
そのほとんどがカントリーの要素を必ず持っていると言っても過言ではない
それほどアメリカ人(特に南部ユーロアメリカン)にとって
カントリーは心揺さぶられる音楽なのだ

学生時代からずっとロックギターを弾き続けてきた私には
本作はたまらないほどハートが揺さぶられる映画だった
Crazy Heart』という原題のままのこの映画は
まさしく観る者の魂を揺さぶり、希望を湧きあがらせ
“荒ぶるハート”を甦らせてくれる


本作の“バッド・ブレイク”(ジェフ・ブリッジス)は
かって、一世を風靡したカントリーミュージシャンだったが
年を経て、今では歌える場所ならどこへでも行く
落ち目のドサ周りシンガーになり果てていた

若いころは家庭を顧みることなくバンドツアーに明け暮れ
結婚生活は上手くいくはずもなく離婚を繰り返し
今はただ、その日の食いぶちの為に
1日500マイルも自ら車を走らせ
転々と酒場でライブ演奏をする生活と酒浸りの日々
もはやアル中といえるほど酒を切らすことのできない
57歳の体はすでに悲鳴を上げ
ステージに立っていられないほど疲れ切っていた

そんなその日暮らしを続けるバッドの前に、ある日
地方紙の記者“ジーン”(マギー・ギレンホール)が現れる
  人生に希望など捨ててしまったバッドは
離婚し4歳の息子を懸命に育てる彼女のひたむきさに次第に惹かれていき
彼女たちの為にもう一度人生を立て直す決心をする・・・

人生に疲れ果て、諦めかけていた初老の男と
結婚に失敗し男に頼ることを止め
息子と二人で生きてゆこうとしている女

出会ったときから互いに惹かれるが
そこからの1歩を踏み出すことが素直にできない二人
人生をそれなりに長く生きてきた人には
バッドとジーンのすべてを言葉に出さず
傷ついてきた相手の心を思いやる気遣いが
痛いほど伝わってきて、只々泣ける
アカデミー賞主演男優賞は伊達じゃない

バッドのまわりの登場人物もなかなかいい!
古くからの友人“ウェイン”(ロバート・デュヴァル)
マネージャーの“ジャック”(ポール・ハーマン)
かっての愛弟子“トミー・スウィート”(コリン・ファレル)と
一流の脇役たちの好演で
バッドと彼らのやり取りの微妙な距離感に
彼のそれまでの人生が浮き彫りにされてくる

クレイジー・ハート

もうひとつ特筆すべきはジェフの歌のうまさだ
ライブで歌うシーンはジェフ自らギターを弾き歌っている
使い込まれた“Gretsch Chet Atkins Country Gentleman?”と
ボロボロの“Fender”ヴィンテージアンプ
そして作曲に使っていた“GIBSON J-45”のアコースティックギターなど
ギター好きには垂涎の名器を使いこなす様が
とても、様になっていてプロのミュージシャンと見紛うほどだ
特に酒びたりの彼が、どんなに荒れた生活をしていても
モーテルで愛用の“Gretsch”を丁寧に磨くことは欠かさないシーンは
それで食べているミュージシャンなら誰もが共感できるいいシーンだ

ライブシーンにあえて字幕を出さなかったのは
彼の歌と演奏をじっくりと聴かせたかったからなのか?
本物のミュージシャン顔負けの歌と演奏に驚かされ
もうひとつのオスカー、アカデミー賞主題歌賞もうなずける


日本人にとっての演歌や民謡のように
フロンティアスピリッツで荒れ地を開拓してきたアメリカ人の心を
嬉しいときには陽気に歌って踊り
悲しいときにはしんみりと心を包み込んできた
カントリーミュージック

バラッドやジグ、リールなどアングロサクソンの伝統的な民謡の流れをくみ
ブルースやゴスペルの影響も受けながら発達してきた
南部のユーロ・アメリカンの音楽は
1920代にヒルビリーと呼ばれるようになり
その後“カントリー&ウェスタン”そして“カントリー”に名前を変える


音楽をテーマにした映画はいろいろあるが
アメリカ人の心とカントリーという音楽が
これほどピッタリとはまった音楽映画は初めてだろう


人は自分の為だけに頑張っても限界がある
愛する誰かの為や希望を感じることができる人がいるからこそ
新たな力が湧きあがり、生きてゆけるのだ


カントリーファンはもちろん
カントリー以外の音楽ファンや
音楽がそれほど好きじゃない人にも
ひとりのミュージシャンが再生してゆく魂の物語は
すべての人の“クレイジー・ハート”【荒ぶる魂】に
火をつけるに違いない!






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